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天声人語

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2010年2月5日(金)付

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 京の五色、大坂の三彩に対して江戸の着物の粋(いき)は茶色と黒だった。「四十八茶百鼠(ねずみ)」と言われ、人々は微妙な色の違いを楽しんだという。百鼠とは、白と黒の間の濃淡さまざまなグレーのこと。江戸研究家の杉浦日向子さんの遺著に教えられた▼濃淡の差はあれ、百鼠のどれかの色で民主党の小沢幹事長を眺める人は、少なくないだろう。自らの資金管理団体の土地取引をめぐる事件で不起訴となった。嫌疑は「なし」ではなく「不十分」という判断である▼元事務担当者の石川知裕衆院議員と秘書ら2人は起訴された。虚偽記載は知らなかったという小沢氏だが、政治的、道義的な責任はまぬがれない。起訴か不起訴か、善悪二元論の刑事責任に比べてそれは幅広く、深い。こちらのグレーは、その色合いがいっそう濃い▼検察も灰色がかって見える。捜査は「小沢憎し」だったのではないか。なぜ政権交代後のこの時期に……。もろもろの疑問がわく。検察に委ねられた権力は遺恨晴らしの道具ではない。誤解を避けるには、こちらも十分な説明が必要になる▼「国民のレベル以上の政治家は生まれない」と小沢氏は著書で言う。名高い「法則」だが釈然としない。自らの醜聞も国民のレベルのせいにされてはかなわない。清新な政治への期待を、民主党への一票に込めた人は多かったはずだ▼幹事長は続投という。まずは風見鶏を頭に立てて世論観測といったところか。逆風が吹いて「参院選に凶」と出れば退くとの見方もある。灰色決着の黒白(こくびゃく)を、民意が引き取ることになる。

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