HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 03 Feb 2010 22:15:22 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:相撲協会 『民意』を受け止めよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

相撲協会 『民意』を受け止めよ

2010年2月3日

 貴乃花親方の当選は「民意」の反映でもあるだろう。予想を覆す結果となった日本相撲協会の理事選。協会はこれをファンの声としてもとらえ、その思いにこたえねばならない。

 大相撲の中枢に新たな風が吹き込まれた。貴乃花親方は三十七歳。立候補制となって以降、五番目に若い相撲協会理事の誕生だ。一門による事前調整という慣例に従わず、自ら二所ノ関一門を離脱して臨んだ選挙は苦戦の様相だったが、想定外ともいえる票を集め、劇的な逆転勝利をつかんだのである。

 親方としての実績を残さないまま、慣例を破って立候補したことには手厳しい批判もあった。各一門も、入念な票割りによってそれぞれの候補者の確実な当選を期した。にもかかわらず、一門の意向に従わなかった三票が貴乃花親方に流れたのは、それだけ協会内部に現状への不満がたまっていたからだろう。そしてその動きは、多くのファンの「大相撲はこれでいいのか」という思いに後押しされていたに違いない。

 力士暴行死事件、大麻汚染、横綱朝青龍の多くの問題行動と、どれをとっても重大そのものの不祥事が続発している近年の相撲界。もちろんそれ以前に、人気低落という大問題もある。有力な日本人力士の不在で、場所の盛り上がりは外国人力士頼みの状況も変わらない。入門希望の若者が減り続けている現実もある。大相撲はいまや屋台骨から崩れかけているのかもしれない。

 国民の財産ともいうべき大相撲には多くのファンがいて、こうした危機的状況を悲しみ、怒っている。なのに協会の歴代執行部はどの点にも有効な手を打ってこなかった。今回の逆転劇は貴乃花親方だけのものではない。そこには、慣例や伝統によりかかった旧態依然たる相撲界中枢への、ファンからの異議申し立ても含まれているのではないか。

 協会の新執行部は、選挙結果が持つ意味を深くかみしめ、これを具体的な改革への入り口とすべきだ。選挙では多くを語らなかった貴乃花親方も問題提起をしてほしい。とりあえず執行部は、朝青龍が泥酔して一般人にけがを負わせたとされる問題への対応を迫られている。抱える課題はどれも重く、立ち止まっている時間はない。いずれにしろ「大相撲を本来の魅力ある姿に」というファンの思いを強く心に刻めば、おのずとやるべきことは見えてくる。

 

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