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春秋(2/4)

 日本地図の上にぽつんぽつんと散らばる小さな曲線。この6月からタダになる高速道路の50区間を眺めて、鉄道の世界の「盲腸線」という言葉を思い出した。行き止まりになったりしていて大赤字に苦しんだ旧国鉄のローカル線である。

▼せっかくの無料区間を盲腸扱いしては地元からお叱(しか)りを受けそうだが、とにかく空(す)いた道を選んだというから見当違いではなかろう。もともと採算を深く考えずに造った道路だ。料金を取らなくたってひどい渋滞は起きそうにない。民主党の無料化公約をわずかでも実現するには、もってこいの路線かもしれない。

▼しかし始める前から首をかしげてしまう試みではないか。これでは経済効果は知れているし、有料無料が入り乱れて使い勝手も悪そうだ。こんな苦肉の策を講じざるを得ないところに高速道無料化公約の無理があるのだろう。完全実施すると毎年1兆3000億円もかかると聞けば、不安がいや増すというものだ。

▼国鉄盲腸線はどうにも立ち行かなくなって大半が姿を消した。これとは違って列島のあちこちの高速道はもちろん生き永らえるけれど、政治に翻弄(ほんろう)される図のむなしさに変わりはない。道路だ橋だトンネルだと造り続けた自民党政権と、やみくもに高速無料化に突っ走る現政権。どこにも信号機はないのだろうか。

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