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2月1日付 よみうり寸評

 〈梅一輪一輪ほどの暖かさ 嵐雪〉――この句の「一輪ほどの」を「ごとの」と覚えている人が多い◆長谷川櫂さんが著書「国民的俳句百選」にそう書いている。「ごとの」なら、梅の花が一輪開くごとに暖かくなってゆく早春の句。だが、本当の嵐雪の句は「寒梅」の前書きがあり冬の句だ◆「梅一輪ほどの」小さな暖かさを冬のうちに見つけた春を待つ心の句。「ほど」と「ごと」、わずか2字の違いで季節が変わってしまう。「言われてみれば……」とうなずく◆2月到来。今年は1月のうちから梅開花の便りがあったかと思うと、きょうからあすにかけては、関東地方の平地でも雪の予報だ。東京で積雪も見込まれる◆芭蕉の門弟・嵐雪が生きた江戸時代とは季節の様相も変わったようだが、何やら1月に「一輪ごとに」にうなずき、2月に「一輪ほどの」の正しさを知る思い◆2月、〈如月(きさらぎ)〉の語源には諸説ある。寒さに重ね着するなら「衣更着(きさらぎ)」、プロ野球キャンプインの月なら、万物が()え動き出す「生更(きさら)ぎ」。

2010年2月1日14時05分  読売新聞)
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