HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61329 Content-Type: text/html ETag: "add51-15b2-b42f0bc0" Expires: Sun, 31 Jan 2010 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 31 Jan 2010 23:21:10 GMT Connection: close 子育てビジョン 財源論を欠いて実現できるか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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子育てビジョン 財源論を欠いて実現できるか(2月1日付・読売社説)

 鳩山政権が「子ども・子育てビジョン」をまとめた。政権交代後に初めて打ち出す、包括的な子育て支援策である。

 正式には少子化対策基本法に基づく「大綱」だが、あえて堅い名称を避けた。少子化対策と呼ぶより、子どもを中心とした家族全体の支援策であると政府は強調している。

 保育所定員を年に5万人ペースで増やす、といった今後5年間の数値目標を掲げ、意気込みは感じられる内容だ。

 鳩山政権は子ども手当の創設をマニフェスト(政権公約)の柱にすえ、大規模な現金支給の実現に力を注いできた。

 だが、子育て家庭が求めているのはお金だけではない。延長保育や支援拠点の拡充など行政サービスも重要である。今回のビジョンで、鳩山政権はようやく「両輪整備」に動き出したと言えよう。

 ただし、自公政権でも内閣が替わるたびに、新しい少子化対策や子育てプランが何度も打ち出されてきた。

 それらが子育て家庭のニーズを満たせなかったのは、財源の裏付けを欠いていたからだ。

 今回のビジョンはどうか。必要となる追加支出は年間1・6兆円と試算されているが、財源がやはり明確ではない。

 これも予算の無駄を見直し、組み替えることで捻出(ねんしゅつ)するというのだろうか。だとすれば、新ビジョンに盛られた施策の実現には疑問符を付けざるを得ない。

 鳩山政権は2011年度から年5・3兆円を投じて、子ども手当を完全実施する、との方針を変えていない。

 これに固執した場合、まずその財源確保だけで難航し、とても新ビジョンに回す予算は出てこないのではないか。むしろ、しわ寄せを受ける懸念すらある。

 仮に子ども手当の設計や優先順位を見直すなら、新ビジョンの実現性は高まるだろう。その場合でもやはり、無駄減らしと予算の組み替えだけで必要な財源を得るのは容易でない。

 少子化対策をはじめ社会保障施策の財源は、現行の消費税を福祉目的のみに使う「社会保障税」とし、税率を引き上げることできっちりと確保すべきだ。

 財源論を欠いたままでは、どんなに意欲的な少子化対策も、これまで同様、絵に描いた餅にしか見えない。

 社会保障施策の優先順位を再検討し、消費税の議論に早急に着手すべきだろう。

2010年2月1日01時52分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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