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社説1 危機の突破力を試す海外企業決算(1/31)

 米国をはじめとする世界の主要企業が、2009年10〜12月期の業績を改善させている。リーマン・ショックが本格的に響いた08年10〜12月期から1年後の決算は、企業が危機を突破する力を試している。

 09年10〜12月期の米実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は、前期比年率5.7%の高い伸びを示した。しかし、10%の失業率を考えれば、個人消費を中心に、景気の持続的な回復は疑問だ。

 それだけに、大企業が回復の軌道を固め、投資と雇用を増やすことが、マクロの観点からも欠かせない。

 米トムソン・ロイターの先週末の集計では、米主要500社の10〜12月期の最終損益は前年同期の3倍になった。公的支援を受けた金融を除いても15%増えた。なかでもIT(情報技術)企業の復調が目を引く。

 グーグル、アップル、マイクロソフトなどが、10〜12月期に最高益を更新した。新たに投入した新製品やサービスが、好調な業績を支えている。マイクロソフトは、昨年10月に発売したパソコン用の新しい基本ソフトが、増収に寄与した。

 人員を抑え気味だったグーグルは、昨年12月末の従業員数を1万9835人と、3カ月前より170人増やした。こうした例が広がれば、企業が人員を減らし業績を立て直す「雇用なき回復」から、利益と採用を同時に増やす「雇用を伴う回復」へと、転じる可能性も浮上する。

 素材産業は、新興国への展開力で明暗が分かれた。主力工場をアジアに配備し、現地の家電大手とテレビ生産で連携した、ガラス大手コーニングは大幅増益だった。対照的に国内市場に依存する鉄鋼大手USスチールは、赤字を4四半期続けた。

 そのアジアでは、韓国のサムスン電子が好調を保った。10〜12月期を含む09年の営業利益は、約11兆ウォン(8500億円)と、08年に比べ90%強増えた。ウォン安の追い風に加え、不況期に設備投資を増やす戦略が、景気回復に向かう局面で実を結んだといえるだろう。

 景気の回復が鈍い欧州は、企業が事業構造の転換を急ぐ。オランダのフィリップスは、競争の激しい液晶パネル事業から撤退する一方、健康機器事業を広げた。これが奏功し、10〜12月期は売上高が1年前に比べ5%減ったが、最終黒字に転じた。

 業績の好転は、各国の景気刺激策に助けられた面も大きい。世界的に対策の効果が薄れるとされる今年は、危機を突破した後の企業の実力が問われよう。日本企業にも、当てはまることである。

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