HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61699 Content-Type: text/html ETag: "add5a-15e2-e9031cc0" Expires: Sun, 31 Jan 2010 01:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 31 Jan 2010 01:21:06 GMT Connection: close トヨタリコール 安全への信頼回復が急務だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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トヨタリコール 安全への信頼回復が急務だ(1月31日付・読売社説)

 「高品質で安全」が誇りのはずのトヨタ自動車への信頼が、足元から揺らいでいる。

 北米で製造・販売した「カローラ」「カムリ」など8車種にアクセルペダルの不具合が見つかり、230万台という大規模なリコール(回収・無償修理)に踏み切った。

 この8車種については、生産や販売も一時中止する。欧州や中国でも、あわせて約190万台のリコールが行われる見通しだ。

 北米のトヨタ車ではこれとは別に、フロアマットにアクセルペダルが引っかかって戻らなくなる問題が昨年夏に発覚したばかりだ。今回のリコールとあわせた改修対象は700万台を超え、トヨタの世界販売台数を上回る。

 米国内ではトヨタ車への不信や批判が高まっている。米議会は来月にトヨタ幹部を呼んで公聴会を開き、追及する構えだ。

 トヨタも早急な対応が必要だろう。問題がある車種はすべて改修し、消費者の不信を根元から断ち切ることが、信頼回復への第一歩となる。

 不具合が見つかったアクセルペダルは米国の部品メーカーが製造した。ペダルの根元にある可動部分がすりあって摩耗し、結露が発生すると、踏み込んだペダルが戻らなくなる恐れがあるという。

 トヨタはペダルに設計上の問題があったことを認めている。部品メーカー側のミスとしても、それを見過ごしたトヨタ側の品質管理体制に甘さがなかったか、総点検する必要があろう。

 不具合が欧州などに拡大したのは、トヨタの世界各地の工場が、同じ部品メーカーの製品を仕入れていたためだ。

 自動車生産の部品は現地での調達が原則だが、近年は自動車メーカーの進出にあわせて部品メーカーも現地工場を設けている。この結果、工場は世界各地にあっても、部品は同じメーカーのものが使われるケースが珍しくない。

 部品の共通化も進み、同じ部品が多くの車種に搭載されるようになっている。調達先を絞り込み、かつ大量に仕入れるというコスト削減策が、傷口を大きく広げてしまったといえる。

 効率化や国際化を急ぐあまり、最も大切な安全への目配りがおろそかになっていた、と見られても仕方あるまい。

 他の自動車各社はもちろん、日本のメーカーにとっても他人事(ひとごと)ではない。日本のモノづくりへの信頼の基盤は安全と品質にあることを、改めて肝に銘じてほしい。

2010年1月31日01時04分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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