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天声人語

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2010年1月31日(日)付

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 英国の詩人シェリーの「西風に寄せる歌」(上田和夫訳)は〈おう 烈(はげ)しい西風 秋のいぶきよ〉と始まる。結びは有名な〈冬来たりなば 春は遠からずや〉。淡い光が透ける1月の言葉から▼歌手の岡林信康さん(63)が美空ひばりの曲を歌ったCDを出した。「ひばりさんは結局、富士山や縄文杉みたいな、日本の風土が生んだ自然現象だったんじゃないか。戦争のがれきの中から生まれ出て、成長のシンボルとして日本人を励まし続けた」▼日本の空にトキを戻す理由は二つあると、山階鳥類研究所の山岸哲所長。生物多様性を増やすのと、より重要なのは「トキが生き続けられる環境を取り戻すこと。トキの再生は地域の再生なのです」▼動物本来の生き方を見せて、全国から客を呼ぶ北海道の旭山動物園。昨年園長になった坂東元さんは「どの職員も個性豊か。でも、旭山の理念という串が全職員を貫いて一本の串団子となれば、旭山カラーは引き継がれていく」▼破綻(はたん)した夕張市立総合病院を引き継いだ医師村上智彦さん(48)は、病床を大幅に減らし、往診による在宅医療に賭ける。「各地の医療崩壊は、コンビニが必要なのにデパートを建ててきたようなものだから。年老いても生活の質を保って、安心して死ねる場所をつくればいい」▼「倹約に努める美徳的な行動が、まとまれば結果として人々の生活をさらに脅かす。浪費や美食など、多少の悪徳を許して刺激しないと、経済は生きていけません」と語る経済学者、岩井克人さんによれば、「底」とは希望でもある。

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