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一般教書演説 オバマ大統領は巻き返せるか(1月29日付・読売社説)

 オバマ米大統領が初の一般教書演説を行い、雇用創出を今年の最優先課題に掲げた。

 演説は、全体の3分の2以上を経済政策に費やす異例の内容となった。国民の不満が根強い雇用対策と財政再建に焦点をあてたのがポイントだ。

 経済の立て直しをアピールすることで、急落する支持率の反転を目指す狙いがあろう。

 就任から1年。金融危機は最悪期を脱したが、「力強く繁栄する米国の復活」という公約実現には程遠い。景気の低迷で米国の内向き傾向は強まり、「変革(チェンジ)」を掲げた当時の熱狂は失われつつある。

 昨年は約416万人の雇用が失われ、失業率は7・6%から10%台へと悪化した。2009会計年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字も、過去最悪の1兆4000億ドル超に膨らんだ。

 二つの州知事選とマサチューセッツ州の上院補欠選で、与党・民主党候補が相次いで敗れたのも、経済失政への批判が主因だ。

 大統領は、雇用創出の中心は中小企業にある、として、積極的な政策を打ち出した。新規雇用への税控除など中小企業減税や、中小企業融資強化策だ。

 輸出を「今後5年間で倍増」させることで、200万人の雇用を確保すると言明した。

 財政再建では、安全保障と、医療・教育など国民生活に直結する項目を除いた予算の伸びを、11年度から3年間、凍結すると表明した。財政赤字の拡大に歯止めをかけるのが狙いだ。

 国民の間に広がる将来の増税不安や、共和党の「大きな政府」批判に配慮したものだろう。

 大統領は、公的資金を投入した大手金融機関に金融危機責任税を課すことや、厳しい金融規制への意欲も改めて示した。ウォール街への対決姿勢も、支持率回復を狙った起死回生策といえる。

 内政の最重要課題としてきた医療保険制度改革については、引き続き議会に、法案を一本化して再可決するよう求めた。

 大統領が演説で示した政策課題は多彩だが、多くは、議会で法案が成立しなければ実行できない。11月の中間選挙に向け、民主党と共和党の対決色が強まる中、それは容易ではない。

 内政で大統領の指導力が揺らぐようでは、外交・安全保障政策に悪影響が及ぶ懸念がある。

 大統領が議会を働かし、政策遂行につなげられるのか。政治手腕が問われている。

2010年1月29日01時29分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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