HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 28 Jan 2010 22:15:26 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:オバマ演説 問われる言葉の信頼性:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

オバマ演説 問われる言葉の信頼性

2010年1月29日

 オバマ米大統領が就任後初めての一般教書演説を行った。支持率低下を前に「たとえ不人気な政策でも私は逃げない」と歴史的使命感もにじませた。言葉の信頼性が問われる二年目となる。

 逆風の中で迎えた初めての一般教書演説だった。

 内政上の最大懸案だった医療保険改革法案成立に目処(めど)をつけ、政権浮揚につなげる目算は外れ、上院のマサチューセッツ州補選で民主党候補が敗北した直後、という皮肉なタイミングとなった。

 演説の大半が内政、特に雇用政策に割かれたのは当然だろう。

 「一年前、私は二つの戦争、厳しい景気後退、崩壊寸前の金融システム、そして多額の財政赤字を抱えて就任した」

 前政権から引き継いだ「負の遺産」を指摘し、芽生えかけた成果を強調するのは、政権交代を果たした新政権の常だ。オバマ氏は、一九三〇年代の大恐慌にも匹敵するといわれた金融危機を、大規模な財政出動でなんとか切り抜けた実績、大手金融機関を対象に行った不人気な公的支援への理解を求めた。

 「われわれの政策で、二百万人が失業を免れた」「ウォール街から返却された三百億ドルを中小企業の金融支援に振り向けたい」

 また、建設、エネルギー業界など、景気刺激策で具体的に達成された雇用データを挙げながら、今後の方針として、環境、運輸も含めた各分野で国際競争を勝ち抜く技術革新を促進し、中長期的な雇用拡大につなげる計画を示した。10%を超える失業率の中で、怒りと不安を募らせる国民のもとにその効果がいつ表れるか、時間との競争となろう。

 すでに秋の中間選挙に向けて選挙戦が始まっている。共和党も、補選勝利を党勢復活につなげようと必死だ。超党派的協力はますます困難さを増す。

 この四月には、核廃絶への一歩を占う核安保サミットが予定されている。八月にはイラク米軍撤退の期限を迎える。イスラム過激派も、国際社会の結束に緩みをかぎ取れば、即座に空隙(くうげき)を突いてこよう。具体的な成果に結び付けられるか予断を許さない。

 一時間を超えた演説では、しばし緊迫した静寂が議場を覆った。苦難の建国史を想起させ、人々を鼓舞する言葉の数々は十分拝聴した。二年目は、それを実現する手腕を示してほしい−。そんな無言の渇望を聞く思いだ。

 

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