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社説2 経済全体を考える経団連に(1/28)

 日本経団連の次期会長に住友化学の米倉弘昌会長が就くことが内定した。経済を活性化し再び成長軌道に乗せるため、規制改革などで「米倉経団連」は特定の業界に配慮するのではなく、日本経済全体の利益にかなう行動をしてほしい。

 鳩山政権は2020年度まで年平均3%を上回る名目経済成長をめざす。家計への手厚い給付による需要刺激という発想が強いが、目標達成には、企業の競争力を高め、雇用を維持、拡大することが不可欠だ。

 これまで経団連は、自由貿易の推進や法人税の負担軽減などを訴えてきた。人口減少の中での経済成長には、生産性の向上と日本全体の経営資源の再配分も欠かせない。

 たとえば、医療、教育、農業などの分野に異業種の企業も参入しやすくする改革が要る。これらの分野では、既得権を守るため新たな事業者の参入を阻む規制が多い。太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入では、家庭への送配電の自由化も含む電力分野の改革が必要だ。

 経済同友会が財政や環境、農業改革などで幅広い提言をしてきたのに対し、経団連はメンバーとなっている業界の利益を優先しがちな傾向もあった。これからは経済活性化や低炭素化へ向け、大胆な改革に政府とともに取り組んでもらいたい。

 温暖化対策での経団連の主張は残念だ。昨年、2020年までの温暖化ガス削減の目標づくりで経団連が支持したのは、1990年比で4%増という最も消極的な案だった。

 地球温暖化対策税にも経団連は反対しているが、電機、プラント、商社など多くの企業は環境・温暖化対策を成長の柱にしようと動き出している。電力、鉄鋼、化学など特定の業界の利害を反映するのではなく、より幅広い視点での将来に向けた提言も経団連はすべきではないか。

 成長と雇用の支えになるのは投資だ。外資を脅威とみなすのではなく、外国企業の対日投資を促す発想もこれから日本で重要になる。

 米倉氏はシンガポールで石油化学事業に取り組み、サウジアラビアでの合弁事業も実現した。日米経済協議会の会長も務める。こうした経験を生かし、よりグローバルな競争意識を経済界に広げてもらいたい。

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