HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61149 Content-Type: text/html ETag: "a7b56-15ad-ce368300" Expires: Tue, 26 Jan 2010 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 26 Jan 2010 23:21:10 GMT Connection: close 春闘スタート 労使で成長への道筋を描け : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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春闘スタート 労使で成長への道筋を描け(1月27日付・読売社説)

 日本経団連の御手洗会長と連合の古賀会長のトップ同士が26日、まず主張を戦わせ、今年の春闘がスタートした。

 経団連は春闘方針として示した「経営労働政策委員会報告」で、「賃金より雇用重視」の姿勢を強調している。対する連合も、統一的なベースアップ要求を見送った。

 企業業績は最悪期を脱したものの、先行きへの警戒感は強い。物価も下落するデフレ状況下では予想された展開である。

 やはり、今年の春闘の優先課題は雇用だろう。失業率は5%台で高止まりし、有効求人倍率は0・5倍を割り込んでいる。

 組合員の雇用維持にのみ目を向けていては、全体の雇用情勢は改善しない。将来を担う若い人材を採用し、雇用を創出していく努力が、企業の成長にもつながる。

 経団連報告も、新規学卒者や既卒未就業者の就職問題は緊急課題だとし、若者に門戸を開くよう企業に呼び掛けている。「逆風下においても、将来の成長に向けた布石を積極的に打つ」ことの重要さを指摘している。

 まったく異存はない。中長期的な成長の道筋を労使で共有し、一丸となって取り組む。このことを確認する春闘としてほしい。

 経団連報告の記述は、労使交渉の具体論となると、一転して労働側との対決姿勢が目立つ。

 連合はベースアップは断念したものの、交渉方針に「賃金水準の維持」を掲げている。年齢や勤続年数で一律に上がる定期昇給の実施が譲れない一線だ。

 これに対し経団連報告は、従業員の賃金が自動的に前年より上がる制度そのものに疑問を呈し、定昇を維持するかどうか、労使で実態に応じた話し合いが必要だと主張している。

 連合は、非正社員の処遇改善も交渉課題とする方針を打ち出しているが、経団連報告は「慎重に対応していくことが必要」と述べるなど、極めて消極的だ。

 定昇も非正社員の問題も、これでは入り口から労使の論議がかみ合わない恐れがある。

 確かに今期は苦しくても、経営側には、業績の回復に応じて賃金も非正社員の処遇も改善していくという決意を語ってほしい。

 縮み志向のままでは職場の士気は高まらない。雇用と賃金の双方に、将来にわたって安心感が持ててこそ、消費は盛り上がり、少子化の改善にもなる。

 政府も企業社会の活性化を後押しする政策を考えるべきだ。

2010年1月27日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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