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1月26日付 よみうり寸評

 〈競馬は時代の比喩(ひゆ)である〉――詩人・寺山修司のそんな言葉を歴史の事実で例証するような「競馬の社会史」という著作が生まれた◆「文明開化に馬券は舞う 日本競馬の誕生」と題した第1巻が出たばかりで、全5巻を刊行の予定だ。著者は日本近代史専攻の立川健治・富山大学人文学部教授。競馬を通して日本の近代を読み解く異色の労作である◆これが2009年度JRA(日本中央競馬会)賞の馬事文化賞に選ばれ、きのう東京のホテルで表彰された。まだ第1巻だが、758ページに上る大作。これだけで受賞の資格十分と高く評価された◆幕末から文明開化期にかけて、競馬が社交、軍馬のための馬匹改良、スポーツ、賭博、博覧会などとかかわって歩んだ社会史が描かれている◆明治17〜24年には馬事振興のため、高給取りの官吏に乗馬を飼うことを義務付ける法律「乗馬飼養令」があった。そんな珍知識や幕末、鹿鳴館時代の名馬物語も読める◆資料を博捜し、図版も豊富。異色教授の競馬好きに敬意を表する。

2010年1月26日15時00分  読売新聞)
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