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天声人語

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2010年1月27日(水)付

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 自分も道楽ざんまいの親父が放蕩息子に意見するのは、人間喜劇のひとつの型だろう。上方落語の「親子茶屋」もこの手の話だ。この親父、親子で遊んでは身上をつぶすと案じ、息子が早く死なないかと思うのだから並ではない▼おとといの前原国土交通相も「道楽親父」に意見される気分だったか。衆院予算委員会で、自民党の町村元官房長官の質問に「自分たちのツケをほっといて文句を言うのはやめていただきたい」と語気を強めた▼混迷の深い八ツ場ダムをめぐる質問だった。大臣自身、就任早々に「中止」と言明したのを、「凍結」にすべきだったと悔やんでいるようにも聞く。前日は地元で対話に臨んだ。もろもろが胸中にあって、小爆発を起こしたのかもしれない▼鳩山首相を思い出す。谷垣自民党総裁の代表質問に「あなた方に言われたくない。こんな財政にしたのは誰だ」とやった。あとで詫(わ)びたのは見識だったろう。前の政権党だからと道楽親父の意見のように退けては、論議は深まらない▼戦前のこと、「国体」をめぐる論議が国会で沸いた。微妙な問題だけに岡田啓介首相は「憲法第1条に明らかであります」の一辺倒で逃げ通した。憲法1条の塹壕に入られると始末に負えないと、野党を怒らせたという▼鳩山内閣は答弁で、「自民政権のせい」という塹壕を使用禁止にすべきだろう。寅さんではないが、それを言っちゃあおしまいよである。「親の意見と冷や酒は後になって効いてくる」。人生の達人だった寅さんはたしか、そんな俗言もよく口にした。

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