HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 25 Jan 2010 23:16:31 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:名護の選択 県内移設反対の発露だ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

名護の選択 県内移設反対の発露だ

2010年1月26日

 沖縄県名護市長選は米軍普天間飛行場の同市辺野古への移設に反対する新人、稲嶺進氏が勝った。鳩山由紀夫首相は県内移設断念を躊躇(ちゅうちょ)せず、県外・国外移設の検討を本格的に始めるべきだ。

 首相は選挙結果に「名護市民の一つの民意の表れだ」と述べた。

 外交とともに国の基本政策である安全保障は、政府が責任を持って判断し、地方選挙に委ねるべきでないというのが原則だ。

 しかし、地元の反対が強い中で基地移設を強行しても、基地の安定使用はままならず、日米同盟は脆弱(ぜいじゃく)性を抱え込むことになる。

 首相はこれまで、辺野古移設を決めた日米合意の重さとともに、地元の意思を尊重する考えを示してきた。首相が今回の選挙結果を重く受け止めるのは当然だ。

 首相は今年五月末までに移設問題を決着させると内外に公約している。今後は、政府・与党の検討委員会が、具体的な移設先探しを加速させることになる。

 首相は衆院選の公約通り、県外・国外移設の検討に本腰を入れ、辺野古に代わる移設計画の取りまとめを急いでほしい。

 選挙戦では、移設受け入れ容認派の現職、島袋吉和氏が一期四年間の地域振興の実績を訴えたのに対し、稲嶺氏は受け入れ反対を前面に掲げた。

 辺野古が普天間の移設先に浮上して以降、過去三回の市長選はいずれも容認派が勝利している。

 名護市民は今回も地域振興と基地反対との間で難しい判断を迫られた。選挙結果は、基地拒否の発露だ。それを後押ししたのは、民主党への政権交代でもある。

 検討委委員長の平野博文官房長官は記者会見で「辺野古を削除するとの判断に立たず、ゼロベースで最適地を探していく」と、現行案も排除しない考えを示した。

 しかし、検討した結果、辺野古移設が息を吹き返したのでは、過重な基地負担に苦しんできた沖縄県民の期待を大きく裏切る。

 危険性が指摘されてきた普天間の返還は一九九六年に日米合意しながら、実現していない難問だ。

 沖縄以外の日本国内に移設する場合、地元の説得に加え、辺野古移設を最善とする米政府の理解も得なければならない。それを成し遂げなければ、普天間の固定化という最悪の結末を迎える。

 首相はあえて困難な道を選んだことになるが、この道を切り開くのもまた、自らの責任である。

 

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