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社説2 政府は八ツ場で代替案示せ(1/26)

 群馬県の八ツ場ダムを巡る前原誠司国土交通相と建設予定地の住民との意見交換会がようやく実現した。直接対話は問題の解決に向けて不可欠だが、両者の溝は依然として深く、議論は平行線をたどった。

 国交省は現在、有識者会議を通じて全国のダム事業の妥当性を検証し、その是非を判断する基準づくりをしている。前原国交相が中止する意向を表明している八ツ場ダムについてもこの会議で検討している。

 一般論でいえば、自然環境に少なからぬ影響を与えるダムは造らないで済むならばその方が望ましいだろう。八ツ場ダムは見通しが甘い公共事業の代表例といわれてきた。政府はこれまで何度も計画を見直し、その結果、総事業費が当初計画の2倍強に膨らんだためだ。

 同ダムの建設を続ける場合、再び事業費が増える可能性はないのか事前に調査する必要がある。しかし、そうした調査と、ダムの必要性の議論は分けて考えるべきだろう。

 同ダムの場合、その恩恵を受ける1都5県はすべて早期の完成を求めている。この点で、地元の知事が白紙撤回を求めている熊本県の川辺川ダムと事情は大きく異なる。

 2010年度の予算案を先週発表した東京都は、ダム建設を前提に関連経費を盛り込んだ。埼玉県のように水利権の3割を八ツ場ダムに依存している地域もある。人や企業の首都圏への集中はまだ続くだろう。

 同ダムに反対する住民は1都5県が策定した水需要の将来推計は過大だとして、各地裁で訴訟を起こしている。すでに判決が出ている4都県では、すべて住民側が敗訴した。

 政権交代後では初となる先週の千葉地裁の判決も「水需要予測は不合理とは認められない」と、それまでの3地裁と同じ判断だった。

 国が河川計画を変更する場合、関係する知事の意見を聞くように法律は定めている。洪水を抑える治水、水道水や工業用水を供給する利水の両面で、合理的な代替案がなければ議論は前に進まない。

 前原国交相は就任早々に同ダムの中止を言明したが、その後の検討は遅れ気味だ。1都5県や地元住民のことを考え、本当に中止するなら、早期に代替案を示すべきだ。

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