現職の国会議員が逮捕され、与党の幹事長が事情聴取を受ける。政界の巨人と検察が火花を散らしてぶつかり合う。この重大局面を海外はどうみているだろう。いささか興奮した気分で、米欧アジアの知り合い10人に電話で聞いてみた。
▼まず「大変だね」と慰めの言葉が返ってくる。次に「それで鳩山政権はどうなるのか」という逆質問。日本国内で語られている状況をひとしきり説明すると、フムフムと聞いてくれるが、やがて「今の日本には、もっと大事な問題があるのではないか」と冷ややかな感想を漏らす――。そんなパターンが多かった。
▼米通商代表部(USTR)の幹部だった米国人弁護士の言葉は、おだやかではない。「政治がしっかりしないと、その足もとをみて、日本に注文をつける絶好のチャンスだと考える勢力が出てくる」。そういえば日本のエコカー減税への批判や米市場でのトヨタ車の不具合の指摘など、気になる動きが増えている。
▼誰が正しいのか、どちらが勝つのか。遠いよその国の話だとばかりに、「ゴジラの闘争」「民主党のショーグンの戦い」と、面白おかしく劇画風に伝える海外メディアも少なくない。だが、日本人まで観戦気分になってはなるまい。戦いの様子が見えず、評論家だけが増えてはいないか。景気回復は道半ばである。