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捜査「口先」介入 耐えられない首相発言の軽さ(1月23日付・読売社説)

 鳩山首相がこれ以上、軽率な発言を続けるなら首相としての資質に疑問符がつくだろう。

 首相は、小沢民主党幹事長の資金管理団体の土地購入事件で逮捕された石川知裕衆院議員について、「起訴されないことを望みたい」と述べた。看過できない発言だ。

 ところが、一夜明けると一転、「捜査に介入するつもりはない」と釈明した。衆院予算委員会では発言そのものを撤回した。

 首相は国会答弁で、今回の事件に関して「国策捜査」だとは認識しておらず、検察は公正でなければならないと明言している。

 その舌の根の乾かぬうちに、これと矛盾するような発言をしたのは、仲間への「友愛」ゆえか。まったく、首相という立場を失念していると言わざるをえない。

 それにしても、首相は何度、同じ過ちを繰り返すのか。

 首相は先週、小沢幹事長に「闘って下さい」と言って激励した。しかし、これも後になって「検察批判とか、捜査に予断を与えるとかではない」と、釈明に追い込まれている。

 検察の職務は、行政機構の一部とはいえ、司法権に類似する独立性が認められなければならない。捜査に介入するような発言は、指揮権発動と受け止められかねない。今後は、厳に慎むべきだ。

 首相の迷走発言は、これにとどまらない。

 米軍普天間飛行場の移転問題でも、移転先や決定時期についての発言が揺れ続けている。来日したオバマ米大統領には、「トラスト・ミー(私を信じてほしい)」と呼びかけながら、年内決着を図ろうとしなかった。

 クリントン米国務長官との会談後は、決着先送りについて「十分に理解をいただいた」と述べて、物議をかもしている。

 普天間移設問題の混迷も、こうした首相の言葉の軽さが一因、とみられても仕方あるまい。

 麻生前首相の場合も、失言と釈明が多かった。定額給付金や郵政民営化問題などをめぐる軽はずみな発言が、混乱を引き起こし、内閣は自壊していった。

 鳩山首相が国民に直接、自分の「思い」を伝えたいというのは理解できる。だが、まるで「思いつき」のようにしゃべっていては、前内閣の二の舞いになろう。

 最高指導者が不用意な発言をして、その都度撤回する。これでは、国民の信頼を損なうだけでなく、政治不信を増幅させてしまうことを首相は肝に銘じてほしい。

2010年1月23日01時19分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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