HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 23 Jan 2010 03:15:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ハイチ大地震 日本の体験役立てよう:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

ハイチ大地震 日本の体験役立てよう

2010年1月23日

 西半球カリブ海に浮かぶ島国ハイチの大地震は、いまだ被災の全容も確定しない。地震の体験も研究も多くの蓄積があるわが国は、救援、復興ともに貢献できることが多いのではないか。

 現地時間十二日夕(日本時間十三日朝)発生したマグニチュード(M)7・0の地震の被害は十日を経ても犠牲者の数すら正確につかめない。復旧はおろか犠牲者の収容、被災者の救助や医療、食料の配布も難航している。

 震源が首都に近く、大統領宮殿など政府機関のほか、政情不安の同国の治安維持にあたる国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の施設も損壊した。この結果、統治機能の発揮が困難になったのが原因の一つである。

 ハイチは一八〇四年、フランス革命の影響を受け、ラテンアメリカ初の独立国となった。一九五七年以降、独裁政権下で苦しみ、八八年に民政に復帰したが、政情不安は続き、二〇〇四年からPKOが行われている。

 農業中心の国民所得は低く、社会資本の整備は貧弱だ。被害のあった首都の空港は一時、救援の外国機の発着がままならず、道路網の損壊で人員、物資の移動とも停滞する。救援が遅れるもう一つの理由である。

 ハイチに近い米国、旧宗主国フランスや欧州連合加盟国、中国などはいち早く支援に乗り出している。何より被災者に必要なのは医療と食料の提供だ。しかし、情報不足と交通網損壊で、必要な被災者のもとに届くとは限らない。

 救援諸国の対立も伝えられる。近く支援国の会合が開かれるが、国連を中心に十分議論を尽くし、ハイチが速やかに復興できる最善の方策を探ってほしい。

 率直にいって、わが国の支援は一歩出遅れた感を免れない。被災地は遠いが、ハイチ大地震は震源が浅い地層の活断層で、先日発生から十五年を迎えた阪神・淡路大震災と同じタイプである。阪神以後も日本はたびたび地震を経験しており、被災者の医療など救助活動、避難所設営、被災地復旧まで多くの知見と技術を持つ。

 これらを生かした方策として、地震災害の救急医療チームを薬品や資材とともに増派する。その上で被災地に適した住宅をはじめ、構造物、道路やライフラインの耐震強化を息長く指導できる人材を派遣する−などがある。

 物量でなく、自分の国の体験に基づく支援を行えば、出遅れを補って余りあるのではないか。

 

この記事を印刷する