HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 22 Jan 2010 22:15:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:中国経済 強さも弱さも直視を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

中国経済 強さも弱さも直視を

2010年1月22日

 中国が昨年、9%近い経済成長を達成したことがわかった。金融危機からV字回復した中国の市場に世界の注目が集まる。しかし、その中身には強さとともに弱さも見られ、両面に注意が必要だ。

 国家統計局が二十一日発表した二〇〇九年通年の実質国内総生産(GDP、速報値)は〇八年に比べ8・7%増加し、中国政府が目標としていた8%に達した。

 このペースが続けば、今年中には中国のGDPが低成長の日本を上回り、米国に次ぐ世界第二位の経済大国になる公算が大きい。

 中国は〇三年以来、五年連続で二けた成長してきたが、金融危機で〇八年は9%の成長にとどまり失速が心配されていた。

 成長を回復させたのは政府が打ち出した、〇八年秋から一〇年末までに四兆元(約五十三兆円)の新規投資を行う景気刺激策と、銀行融資の大幅な緩和だ。特に昨年の人民元新規貸出増加額は九兆六千億元(約百二十八兆円)と前年の二倍近くに達した。

 しかし、昨年は輸出が前年に比べ16%も減るなど生産の回復は思わしくないため、融資の多くは設備投資よりも企業を経て株や不動産市場に流れたとみられる。この結果、株価は〇八年につけた最安値の倍近くに回復し昨年末の主要七十都市の建物販売価格は前年同期に比べ8%近くも上昇した。

 一時下落した株と不動産価格の上昇は都市を中心に資産バブル効果を生み、自動車など高額商品を中心に消費を回復させている。

 しかし、投資が主導する成長の復活は貧富の差を拡大する面があり、胡錦濤国家主席も年頭に「発展のチャンスは社会の矛盾が突出する時期だ」と警告した。

 また、通貨供給量の大幅な増加に伴い物価も昨年十一月から上昇に転じた。中国人民銀行(中央銀行)が金融引き締めに転ずる気配を見せ始めたことでバブル崩壊を懸念する声も出てきた。

 中国が新興国を代表する成長市場であることに疑いはない。しかし、同時に「発展に伴う矛盾や問題の規模と複雑さは世界でもまれにみる」(胡主席)社会だ。グーグル問題に見られるように独特のルールが押しつけられることもあり「中国一辺倒」のビジネスはリスクが避けられまい。

 GDPの規模で中国に追い越されることで日本は自信を失うことはない。質の高い技術開発や生活様式を確立し新たな発展モデルをアジアに示す機会とすべきだ。

 

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