HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 22 Jan 2010 23:16:34 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:トヨタ車回収 モノづくり神話揺らぐ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

トヨタ車回収 モノづくり神話揺らぐ

2010年1月23日

 トヨタ自動車が米国で大規模なリコール(無料の回収・修理)を実施することになった。構造上の問題が理由。リコールを速やかに進めるとともに、安全な車づくりに向けて足元を見直すべきだ。

 リコールの対象は、二〇〇五年から今年にかけて製造し、米国市場で販売した八車種、計二百三十万台にのぼる。米国でのトヨタの看板車種ともいえる「カローラ」や「カムリ」も含まれる。

 踏み込んだアクセルペダルが戻らなくなったり、戻るまでに時間がかかる場合があるという。トヨタは原因を「設計上の問題」と説明。つまりは「欠陥」だ。

 トヨタは昨年十一月から、フロアマットにアクセルペダルが引っ掛かり、戻らなくなる可能性があるとして「プリウス」「カムリ」など八車種、四百二十万台以上を対象にアクセルペダルやマットの無償交換を行っている。

 ただ、この措置をトヨタは「自主改修」と位置付けている。米国では厚手のマットを使うユーザーが多いが、トヨタとしては想定していないとして、車両の構造的な欠陥ではないと主張した。

 しかし、今回のリコールはフロアマット問題とは性質が異なっている。トヨタは、部品の材質と形状に問題があったとみている。部品の設計、材料の選択にミスがあったことになり、問題は重大と言わざるを得ない。

 米国市場でトヨタは昨年、フロアマット問題での自主改修のほかにピックアップトラック「タンドラ」のリコールも実施した。相次ぐ改修、リコールにより、トヨタ車の安全性への信頼は大きく揺らぐ恐れがある。

 ブランドイメージの低下に伴って、対象となった車種だけではなく、米国市場で“トヨタ車離れ”が起こるかもしれない。

 米国での自動車年間販売台数は昨年、中国に抜かれて世界二位になったとはいえ、米国が重要な市場であることに変わりはない。リコールをきっかけに米国での販売が失速すれば、業績への影響も計り知れない。

 トヨタへの不信は高品質を売り物にしてきた日本のモノづくり神話の崩壊にもつながりかねない。トヨタには、まずはリコール対象車のユーザーに対し、販売店を通すなどしてリコールを周知徹底し、一台残らず部品を交換してほしい。同時に、徹底的な社内調査をした上で、安全を最優先にした車づくりを目指してもらいたい。

 

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