新しい製品を買って、一番頭にくるのは、それがすぐ故障した時だ。新品なのに、と思うから余計に腹立たしい▼だが、どうも機械の類(たぐい)というものは初めのうちは故障が多いものらしい。それから、だんだん安定してきて故障が少なくなる。だが、やがては老朽化でまた故障が多くなる▼何でも、故障の発生率を縦軸、使用時間を横軸にとってグラフ化すると、真横から見た浴槽のようなカーブを描くのだそうだ。だからそれは「バスタブ曲線」とも呼ばれる▼米国にオバマ大統領が誕生してから一年が過ぎた。経済不振に出口が見えないことなどから大衆の気持ちは相当冷めたらしい。支持率は下降し、最近の上院補選でも民主党候補が敗れた。翻ってわが鳩山政権。まだ発足四カ月だが、政治とカネの問題などで、やはり内閣支持率は落ちてきている▼ともに、前政権とは違う「新しさ」が売り。まるで家電の新製品みたいに、店頭に並んだ時はピカピカだった。それを買った両国民は機能に大いに期待した。ところが間もなく、あちこち不具合が出てきて「何だ、新品なのに」とプリプリ…。今はそんな状況かもしれない▼もし「バスタブ曲線」よろしく、今後早いうちに故障の少ない安定期に入れればよし、そうでないとまずい。特にわが国の場合、あっさり別の品との「交換」ということだって、あり得なくはない。