「普通では考えられないほど程度が極端であること」。「笑い」や「騒ぎ」の前につく「ばか」を、新明解国語辞典はこう説く。極端とは悪いことが多いから、「はした借りまで書き置きのばかりちぎ」と江戸川柳でもからかっている。
▼しかし、万事「ばか」が悪いともいえまい。コト政治資金について政治家に求められるのは、ばか律義なのだ。元秘書らが政治資金報告書の虚偽記入の疑いで逮捕されている民主党の小沢一郎幹事長も、そう思っているのか。そうであってほしいが、どうもくだんの川柳作者と同じ心持ちが見え隠れしてならない。
▼国会では野党に追及され、幹事長への律義のほどが少々極端にも見えた民主党の面々からは、小沢さんの姿勢への批判もチラホラと出始めた。自らも、東京地検特捜部が求めていた事情聴取に応じるという。かくなるうえは、複雑な金の流れの一切を包み隠さず開陳されるよう、こちらもばか正直に願うしかない。
▼列島はつかの間春さながらだが、きょうの大寒から立春までの半月はもっとも冷え込む時期だ。だからこそ、しゃんとするのだという気になる。再生へ多難な道を歩み出した日本航空の関係者も同じ思いだと信じたい。高浜虚子に「一切の行蔵寒にある思ひ」の有名な句がある。行蔵とは、出処進退の意味である。