HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 18 Jan 2010 01:15:40 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:マグニチュード7・3の直下型地震を起こした活断層は、兵庫県…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年1月18日

 マグニチュード7・3の直下型地震を起こした活断層は、兵庫県の淡路島から神戸市、芦屋市、西宮市などの地下を横切り、その上に揺れを増幅する軟弱な地層が重なっていた▼一九九五年の阪神大震災で倒壊が目立ったのは、活断層近くの「文化住宅」と呼ばれる木造の集合住宅だった。高度成長期に多く造られ、高くても五万円ほどの家賃の安さが魅力だった。犠牲者の多くは圧死だった▼「孫を抱いて寝たばあさんのところで遺体が見つかった時、孫の顔はぺちゃんこだった」。当時、全壊した文化住宅に埋まっている人を救出する現場で、痛ましい話を聞いた▼被災した高齢者の家屋の半数近くは、築三十年超の建物。六十五歳以上の死亡率は他の年齢層より二〜五倍高い。生活保護受給者の死亡率は、一般の五倍以上だった(いのうえせつこ著『地震は貧困に襲いかかる』)。耐震性の低い老朽化した住宅に住まざるを得ない人たちに、犠牲者が多かった事実は、あらためて直視すべきだろう▼六千四百三十四人が亡くなった震災から、きのうで十五年を迎えた。震災時に生まれた子どもは、今春中学を卒業する。神戸市では、震災を知らない市民が三分の一以上を占め、震災の風化が心配されている▼大震災は経済的な弱者を直撃する。その教訓は、政府や自治体の防災対策にどこまで生かされているのだろうか。

 

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