HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 17 Jan 2010 21:16:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:東京・霞が関の検察合同庁舎前に置かれた石の表札が、ペンキま…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年1月17日

 東京・霞が関の検察合同庁舎前に置かれた石の表札が、ペンキまみれになったことがある。一九九二年秋、東京佐川急便事件をめぐる金丸信自民党元副総裁の刑事処分に不満を持った男が「検察庁に正義はあるのか」と叫び、ペンキの入った瓶を投げ付けた▼当時の政治資金規正法の量的制限違反の規定は罰金二十万円。東京地検特捜部は五億円を受領した金丸氏から事情聴取をせずに、上申書の提出を受けて略式起訴した▼検察としては苦渋の判断だったが、汚れた表札には世論の怒りが凝縮されていた。民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の事務担当者だった元秘書の石川知裕衆院議員が規正法違反(虚偽記載)で逮捕された時、思い出したのはあのペンキの場面だった▼小沢氏はかつての政治の師と同じように事情聴取を拒否した。特捜部が国会の開会直前に、現職議員を逮捕する極めて異例の決断をした背景には、十八年前の苦い記憶もあったのだろうか▼陸山会の土地購入をめぐる原資に関し、小沢氏が検察の聴取に応じるのは当然の義務だ。逆にこれだけの政治打撃を与えながら、解明が中途半端で終われば、検察も致命的なダメージを負う▼政界の最高実力者と検察の全面対決は、暮らしや景気にかかわる国会審議に多大な影響を与えるはずだ。政権交代を望んだ国民にとってこんな不幸はない。

 

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