民主党は与党になって初の定期党大会を開いた。
小沢一郎幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で、元秘書の石川知裕衆院議員らが逮捕された余韻が冷めやらぬなか、小沢氏の去就が最大の関心事となった。小沢氏は検察当局との対決姿勢を鮮明にし、幹事長を続投する意向を表明した。
鳩山由紀夫首相(党代表)はあいさつで「小沢幹事長を信じている。臆することなく、自らの潔白を証明し、職務の遂行に全力をあげるよう要請する」と述べた。
しかし小沢氏は説明責任を果たしているとは言い難く、元秘書らが3人も逮捕された政治責任は免れない。幹事長続投で有権者の理解を得られるのか。首相は政権発足4カ月にして大きな危機に直面した。
小沢氏は大会で約10分間、所信を述べた。石川議員の逮捕に関しては「大会に合わせたかのように逮捕が行われ、とうてい容認できない。断固として戦っていく決意だ」と、検察の対応を強い口調で批判した。
焦点の土地購入資金については「積み上げてきた個人のお金。何ら不正なお金は使っていない」と説明するにとどめ、くわしい内容を示さなかった。弁護士を通じ、銀行口座などの情報を検察に提供しているとして、任意の事情聴取に応じる必要はないとの意向をにじませた。
小沢氏は当面、この問題への対応に力を入れるため、幹事長職を輿石東幹事長職務代行に委ねる意向も示した。選挙の公認権などの実権を維持しつつ、記者会見などを避ける狙いがあるならば、納得できない。
小沢氏は検察の事情聴取に応じるべきであり、記者会見などでも説明責任を果たすよう重ねて求めたい。
小沢氏とともに党大会で異彩を放ったのは、あっせん収賄罪などで係争中の鈴木宗男・新党大地代表だった。鈴木代表は来賓あいさつで「検察のリークで世論誘導されている」などと指摘し、取り調べの全面可視化の必要性を訴えた。
検察批判のたびに会場からは「そうだ」という掛け声が飛んだ。小沢氏の政治資金問題を不問に付したまま、検察批判だけに傾斜するなら、与党として異様な姿である。
昨年暮れには首相の元公設第1秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で在宅起訴された。民主党は党のナンバー1とナンバー2が「政治とカネ」の不祥事を抱えるという異常事態に陥っている。政治不信を高めぬためにも、党として事実関係の解明に取り組む必要がある。