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民主党の小沢一郎幹事長が鳩山由紀夫首相に「トラスト・ミー」と言ったかどうかは知らない。おとといの党大会で、首相は「私は小沢幹事長を信じている」と語った。本人には「(検察と)どうぞ戦ってください」と背中を押したそうだ▼信頼関係といえば聞こえはいい。しかし実態は、国民そっちのけで一蓮托生(いちれんたくしょう)を契(ちぎ)りあった運命共同体のようだ。政権と検察の「全面対決」、「宣戦布告」といった言葉が各紙に躍る。遺恨試合ともいえる「総力戦」でとばっちりを食うのは、他ならぬ国民ということになる▼きょうから新年度予算などを審議する通常国会が始まる。難問は山積みだ。日米関係はこじれ、雇用はままならず、景気が二番底に沈む恐れもある。そんな差し迫った課題も「政治とカネ」の攻防にかき消されかねない▼権力者の言葉の重みを「綸言(りんげん)汗の如し」と言う。口にしたことは、汗が体に戻らないのと同じように取り消せない。首相の「戦ってください」もその類(たぐい)だろう。検察を含む行政の長として不適切だった▼さらに借金の連帯保証のようでもある。小沢氏の潔白が証明され、疑惑という「借金」が帳消しにならなければ共倒れが待つ。そうならぬ確信があって言うのか、国民への責任感を欠いた言葉なのかは、いまは想像するしかない▼〈同じ穴むじな列なし出入りする〉と昨日の朝日川柳にあった。「政治とカネ」という穴に、これまでも、どれだけの狢(むじな)が絡め取られたことか。旧態依然の醜聞で新しい政治の生気がしぼんでいく図は、見るに忍びない。