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社説2 減災社会へ住宅耐震化が急務(1/17)

 カリブ海の島国ハイチを直下型の大地震が襲い、犠牲者は20万人に上るとの見方もある惨事となった。医薬品や食料、水など生存に必要なものすべてが現地では不足している。大規模な国際支援が必要で、日本も迅速に支援の輪に加わるべきだ。

 倒れた建物に生き埋めになった犠牲者。懸命に救出を試みる住民たち……。こうした光景は、15年前に起きた阪神大震災を想起させる。私たちは都市のもろさを知った。

 阪神大震災では約10万棟の家屋が全壊、亡くなった約6400人の約8割は住宅などの倒壊が原因とされる。揺れても壊れにくい町、壊れても人命を奪わない「減災社会」を築く必要性を痛感した。

 大震災を教訓に住宅や公共施設の耐震化は進んだが、まだ不十分だ。住宅の耐震化率は昨年4月現在で79%。全国で約1千万戸は耐震性がないか、耐震診断がなされていない。

 国と自治体が補強工事を補助する制度があるものの、制度を持つ市町村はおよそ半数だ。地域によっては自治体も住民も危機意識が薄い。

 木造住宅の耐震改修費は平均200万円ほど。3分の1の補助を受けても高齢者世帯などには負担は大きく、利用が広がっていない。これでは危険を抱え込んでいるようなものだ。あまりお金をかけずに命を守る住宅改修ができないものか。

 東京都などは割安かつ効果的な補強法のアイデアを工務店などから募り、公表している。合板を張って壁を厚くしたり、窓など開口部に丈夫な枠をはめ込んだりすれば、短期間の工事で耐震性が高まる。せっかくの知恵をもっと住民に広めたい。補強工事が広がれば、雇用創出の効果も期待できる。

 社会基盤の補強も進んだが、落とし穴がある。昨夏、駿河湾の地震で東名高速道路が路盤から崩れた。東京湾などの埋め立て地は石油タンクをのせた地盤の液状化が心配だ。公立小中学校の校舎や体育館も昨年4月現在で約4万棟が耐震対応していない。着実に耐震化を進めたい。

 日本は世界の大地震の2割が集中する。事前に警報を確実に出せるほど地震の科学は成熟していない。いつ、どこを震災が襲ってもふしぎはないことを改めて肝に銘じよう。

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