HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 16 Jan 2010 01:16:44 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:海自給油撤収 アフガン支援具体化を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

海自給油撤収 アフガン支援具体化を

2010年1月16日

 インド洋で給油活動を行う海上自衛隊に撤収命令が出た。鳩山内閣は代替の国際貢献策として、アフガニスタンの民生分野に五年間で最大五十億ドルの支援を打ち出している。具体化を急ぐべきだ。

 給油活動は、二〇〇一年九月の米中枢同時テロを受けた米国の「テロとの戦い」に呼応して、同年十二月に始まった。戦時の自衛隊派遣は初めてのことだった。

 当初から、日本国憲法が禁じる武力行使との一体性が問題視された。活動開始からの約八年間、戦闘活動に巻き込まれる事態や犠牲者が出なかったことは幸いだ。

 炎暑の中、緊張を強いられる活動を完遂した自衛官、それを支えた関係者にまずは敬意を表する。

 補給活動に要する経費が年七十億円程度であることを理由に、活動継続が妥当との意見がある。

 しかし、継続反対を掲げる民主党などの勢力が衆参両院で過半数を得た以上、国会によるシビリアンコントロール(文民統制)の観点から、活動終了は当然である。

 鳩山由紀夫首相が「近年、必ずしも給油が十分な意味を持っていなかった」と語るように、ここ数年は給油回数、量が減り、〇九年度には一回という月もあった。

 給油から民生支援に移行する鳩山内閣の判断の方が妥当だ。

 鳩山内閣は昨年十一月、カルザイ政権が二期目を迎えるに当たって、〇九年からの五年間で最大五十億ドル(約四千五百億円)の民生支援を行う「テロの脅威に対処するための新戦略」を発表した。

 農村開発、電力などのインフラ整備、教育・医療など生活分野への支援、警察官の給与補助や養成、反政府勢力タリバンの元兵士への職業訓練が柱だ。

 過密化する首都カブールを拡大する「新首都」開発を後押しする構想もあるという。

 そうした支援が実を結べば、国造りの基盤となる経済的安定、治安維持に大きな役割を果たす。

 問題は、それらが具体化していないことだ。

 アフガンを再びテロリストの巣窟(そうくつ)としないためには、支援の具体策を早急に詰め、一つ一つ実行に移していくことが必要だ。

 軍事的貢献よりも紛争予防的な貢献に力を入れ、米国とは違う形で国際協力することは、海外での武力不行使を誓う日本の「国のかたち」を示すことにもなる。

 それは日米安全保障条約改定五十年という節目を迎える日米同盟関係の強化にもつながるだろう。

 

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