HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 14 Jan 2010 21:16:45 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日航離れ加速 国内外の不安解消急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日航離れ加速 国内外の不安解消急げ

2010年1月14日

 日本航空(JAL)の顧客・投資家離れが加速している。近く法的整理に踏み切ることが確実なためだ。政府は運航維持に向けた事前準備を急ぎ、国内外の不安感解消に全力を挙げるべきだ。

 「早く売れ、と女房に言っていたのに出遅れてしまった」。ある個人株主は苦り切った表情でぼやいた。上場廃止の方向が報じられてから日航の株価は二日連続でストップ安。十三日はついに七円とほとんど“紙くず”近くにまで下落した。

 昨年十一月の同社グループの国際線利用客は前年同月比5・8%減の約八十五万五千人で、二カ月連続の前年割れ。国内線も同12・0%減の約三百十四万七千人と、こちらは一年間ずっと前年実績を下回っている。

 政府はこのほど官民共同出資の企業再生支援機構を通じた日航の再建方針を決定した。支援機構は今後の再建手続きや債権カットなどで関係者間の公平性と透明性を確保するため、法的整理に踏み切ることを決めている。この方針を受けて日航は十九日にも会社更生法の適用申請を行う予定だ。

 雪崩と同様、一度動き始めた“倒産”の勢いは止まらない。

 国民や海外顧客の間で不安感が増しているのは、日航の具体的な将来像が見えないことだ。

 同社の債務超過額は八千億円以上、再建資金は公的資金を含め一兆円を超えるほか、再建期間の三年間でグループ全体で一万数千人削減、国際線は十四路線から撤退して事業を縮小するなどと伝えられている。こうした点だけでは再建の方向は不明である。

 この際、政府は支援機構とともに早急に支援内容を固めるべきだ。一番大事なのは日本政策投資銀行や主力銀行と協議し、融資・出資規模や債権カット額を確定して金融面の不安を除くことだ。

 次に内外の顧客離れを防ぐために関係国や旅行業者、石油元売り企業などに、日航の運航維持を確実に行う旨の情報をしっかりと伝える。マイレージサービスの継続も当然必要である。

 経営体制の刷新は緊急課題だ。新体制のもとで発展戦略を構築する。デルタ、アメリカンなど航空大手のどこと提携するかは、将来を左右する重大な岐路となる。

 日航は社内の動揺を抑え安全運航の徹底を守らなければならない。懸案だった企業年金の減額では現役社員に続き、退職者も三分の二以上が賛同した。安全面でも全社一丸となってもらいたい。

 

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