大黒柱といえば、どっしり構え不動。それを必要なら動かしてしまえというのが、大手スーパー、イオンの岡田家に伝わる家訓だ。大黒柱に車をつけよ――。会社を支える店も、人の流れが変われば移せと、変化への即応を説いている。
▼実際、イオンの源流の岡田屋は、創業した三重県の四日市に新しい中心街ができるのを見越し、本店を移転。発展のきっかけになった。現在は岡田元也社長が、商品が問屋任せになっている総合スーパーの改革を急いでいる。元也氏の弟に外相の克也氏がいる。環境の変化への対応は、克也氏の場合どうだろうか。
▼米国務長官との会談を求めたのは、日米関係がほころび始めた危機感からだろう。鳩山政権は発足から4カ月近くの間、状況に応じ、適切な対応をしてきただろうか。財政面でも政府と与党は、財源不足にもかかわらず消費税の論議には消極的なまま。民主党は政権交代時に表明した方針に縛られたままにみえる。
▼臨機応変に行動せよと説く家訓は意外に多い。埼玉県川越市で和菓子を製造販売する亀屋には、家業は世の進歩に順ずべし、という言葉がある。状況に合わせ打つ手は変える、とはっきり言っている。民主党ももう少し柔軟に軌道修正できるよう、夏の参院選の政権公約には、こんな意味の一文を入れてはどうか。