HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60876 Content-Type: text/html ETag: "fca5e-11dc-17836d40" Expires: Wed, 13 Jan 2010 02:21:14 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 13 Jan 2010 02:21:14 GMT Connection: close 1月13日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

1月13日付 編集手帳

 谷川俊太郎さんが詞を書き、芥川也寸志さんが曲をつけた『日航マーチ』という歌がある。その一節に、〈星を背に 北極の上を/安らかな眠りをのせながら/ジェットは うかぶ…〉とある◆歌が作られたのは東京オリンピックの前年1963年(昭和38年)という。スピードが美徳とされた高度成長下にあって「飛ぶ」や「(かけ)る」ではなく、乗客をそっと両の手で包むかのような〈うかぶ〉が印象的である◆ジャーナリストの弓狩匡純(ゆがりまさずみ)さんは著書『社歌』(文芸春秋刊)に書いている。「大量輸送時代の到来により、スピードとともに安全性がより一層求められることを(谷川さんは)まるで予見していたかのよう」であると◆日本航空の経営再建をめぐる協議がいよいよ大詰めを迎えている。社内には不安と動揺もあるに違いない。そういうときであればこそ、運航に携わる一人ひとりに、〈うかぶ〉の一語にこめられた乗客の祈りを、もう一度、胸に刻み直してもらおう◆歌詞には、こうもある。〈今日の夢 明日へとになうつばさ 日本航空〉。翼の安全が保たれずして、再建の夢が実を結ぶ明日は来ない。

2010年1月13日01時24分  読売新聞)
現在位置は
です