HTTP/1.0 200 OK Age: 244 Accept-Ranges: bytes Date: Wed, 13 Jan 2010 01:17:02 GMT Content-Length: 8393 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.3 Last-Modified: Tue, 12 Jan 2010 14:33:55 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

社説2 菅氏は芯の強い経済政策を(1/13)

 菅直人副総理が財務相を兼ねる体制となって間もなく1週間がたつ。これまでの発言には、当面のデフレ克服や景気の立て直しに軸足を置く姿勢がみられる。それは良いのだが成長戦略や財政健全化の方針作りを含め、中長期の視点からも芯の強い経済政策を立案し実行するよう、指導力を発揮してほしい。

 菅氏は体調不良で辞任した藤井裕久氏の後任として急きょ財務相を兼務し、副総理、経済財政担当相との「3足のわらじ」を履いた。

 財務相は初めての経験ということもあり、勇み足もあった。就任直後に、経済界の立場では、としながらも「1ドル=90円台半ばが適切という見方が多い」と具体的な水準に触れて円安を望む発言をした。行きすぎた円高を是正して輸出を力づけるのは妥当であるとしても、為替相場の水準を示すのは、投機筋に手の内をさらしかえって市場を混乱させかねないなど、適切とは言い難い。

 2010年度予算編成でも「いま緊縮財政にして良いとは一度として思わなかった」と述べ、一時、国債が売られる材料になった。

 だが、経済界の要望も反映して景気回復に努める姿勢は、デフレに苦しむ日本経済の現状に沿う、まっとうな方向である。

 需要の落ち込みを補う財政による一定の下支えは必要だ。また経済の血流を良くする緩和的な金融政策をとることも欠かせない。さらに金融緩和策などを通じて円高を是正することも今、必要な政策である。

 当面の経済運営では、こうした方向に沿って、日本銀行と緊密に連携していってもらいたい。

 内閣で指導的な立場の菅財務相には、6月にも示す新成長戦略の具体案や中期財政フレーム(枠組み)作りにも手腕が期待されている。

 菅氏は子ども手当給付など財政を活用した内需拡大を軸に成長を促す考えを述べてきた。しかし財政に余裕が少ないこともあり、それだけで持続的な成長を実現するのは難しい。規制改革や法人税率引き下げなど企業部門を活気づけるような政策が成長には欠かせない。消費振興のためには持続可能な社会保障も重要で、その実現へ消費税を含む税制抜本改革の議論を早く始めてほしい。

社説・春秋記事一覧