HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61250 Content-Type: text/html ETag: "15e58c-15dd-d3d7ffc0" Expires: Mon, 11 Jan 2010 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 11 Jan 2010 23:21:10 GMT Connection: close 在日米軍経費 思いやりでなく必要な負担だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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在日米軍経費 思いやりでなく必要な負担だ(1月11日付・読売社説)

 鳩山政権下で、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の議論が活発化している。

 政府の行政刷新会議は事業仕分け作業で、在日米軍の日本人従業員の給与水準について、基地がある地域の同じ職種の民間給与とのバランスを考慮し、見直すよう求めた。具体的な削減額には言及しなかった。

 日本人従業員の給与は、米側や労働組合との交渉によって決定されるため、政府が一方的に見直すことはできない。

 だが、給与水準に地域格差や同職種の民間給与を反映させる視点自体は、悪くない。思いやり予算を聖域にする必要はなく、客観的な視点を踏まえて、冷静に議論することが重要だろう。

 日米地位協定には、在日米軍が公務で利用した高速道路料金を日本が負担する制度がある。会計検査院は、年9億円近くに上る支出に、レンタカーによる個人旅行分などが含まれている可能性を指摘し、防衛省に改善を求めた。

 個人旅行まで公務扱いとするのは無理がある。防衛省は、米軍に是正を求めたうえ、随時、きちんと点検することが必要だ。

 思いやり予算を合理的に見直すとともに、無駄遣いを徹底して減らすことは当然である。一方で、米軍の駐留が日米同盟の根幹であることも忘れてはなるまい。

 北朝鮮は核ミサイルの開発を続け、中国は軍備を増強して海空軍の活動範囲を拡大している。国際テロの脅威も厳然と存在する。

 東アジアが多くの不安定要因を抱える中、在日米軍の存在が長年、日本防衛だけでなく、地域の公共財としてアジアの平和と繁栄に貢献してきたことは、当然、積極的に評価する必要がある。

 鳩山政権は、在日米軍について地元負担の軽減ばかりを強調するが、米軍の抑止力の重要性にもっと目を向けることが大切だ。

 その点で日米両政府が共通認識を持たなければ、今年の思いやり予算の特別協定交渉は建設的なものにならないし、同盟関係を深化する作業もおぼつかない。

 1978年に金丸信防衛長官が日本側負担を拡大する際に呼び始めた「思いやり」予算という通称は、そろそろ見直す時期だ。

 当時は、円高の進行で米側の財政事情が厳しかった。「思いやり」は、日本が余分に費用を払う語感があり、誤解を招きかねないと、かねて指摘されてきた。

 この支出が、日本の安全保障にとって必要不可欠な負担であることを改めて確認したい。

2010年1月11日01時21分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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