HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17841 Content-Type: text/html ETag: "2b2ec8-45b1-86ef61c0" Cache-Control: max-age=5 Expires: Mon, 11 Jan 2010 23:21:10 GMT Date: Mon, 11 Jan 2010 23:21:05 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
現在位置:
  1. asahi.com
  2. 天声人語

天声人語

アサヒ・コム プレミアムなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)

2010年1月12日(火)付

印刷

 野菜や家畜の改良で、かけ合わせた品種はしばしば「両親」より丈夫で発育がいい。これを雑種強勢と呼ぶそうだ。雑種を意味するハイブリッド車の勢いに、自然界の法則が重なる。電気とガソリンの混血はもう、好奇の目で見られることもない▼去年の新車販売の首位は、前年(10位)の3倍売れたトヨタの「プリウス」だった。モーターとエンジンのかけ合いが生む低燃費、割安感のある3代目の発売、減税が効いたらしい▼10年前、初代に試乗した。静かさ、走りに感心しつつも、「エコ自慢」を超えて市場の支持が広がるだろうか、と自問した。環境ばかりか家計にも優しいとなれば、なるほど売れぬ理由はない。ホンダのインサイトなども合わせ、ハイブリッドは軽を含む乗用車販売の1割に迫る▼自動車史は、石油消費の歴史でもある。ガソリン車の将来を案じ、トヨタが別の姿を探り始めたのは1993年だった。プロジェクト名は「G21」。21世紀の地球に受け入れられ、かつ売れる車になる。開発コード890T、プリウスの使命である▼96年の正月、武骨な試作車がテストコースを走った。誰ともなく出た言葉は「とにかく動いたね」だったというが、翌年には早くも商品化した。全社の期待を背に、一流の技術陣がアクセルを踏み込んだ時の馬力を思う▼鳩山首相が野心的な温暖化対策を打ち出すと、産業界は怒声まじりの悲鳴を上げた。しかし、環境に気遣いながら、企業と消費者が共に満足する道は必ずある。日本のモノづくりを、いま一度信じてみたい。

PR情報