HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17871 Content-Type: text/html ETag: "7bef2-45cf-cd3ac5c0" Cache-Control: max-age=3 Expires: Mon, 11 Jan 2010 00:21:09 GMT Date: Mon, 11 Jan 2010 00:21:06 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年1月11日(月)付

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 葉をすっかり落とした公園の雑木林は明るい。日が暮れて通りかかると、照明灯が裸木を浮かび上がらせている。人工の灯は趣を欠くが、こんな和歌を思い出したりする。〈風寒み木の葉晴れゆく夜な夜なに残るくまなき庭の月影〉▼平安の末に生まれた式子(しょくし)内親王が詠んだ。木の葉が散りゆく夜ごと、月はいよいよ隈(くま)なく庭を照らして冴(さ)えわたる。これは初冬の歌だが、裸の木々にさす月光は、寒さの極みこそ趣が深い。そして見上げれば、季節風に磨かれて星々が光る▼南には、三つの1等星をつなぐ「冬の大三角」がはっきりわかる。その右にオリオンが構える。1等星を二つも持つ贅沢(ぜいたく)な星座だ。首をよじればカシオペア、北斗七星……。有名な者たちの住む天空である▼その宇宙をめぐって、年明けから面白い話題が相次いだ。ガリレオは海王星が太陽を回る惑星だと知っていたのでは?というのもあった。もしそうなら、海王星の発見は200年以上もさかのぼるそうだ▼19世紀の半ばに海王星は見つかった。偶然ではなく計算で存在が予測されていたため、「天体力学の勝利」とも言われた。その価値が減りはしまい。だが「地球は動く」と口にするのも命がけだったガリレオに、もう一つ勲章が加わるかもしれない▼〈あはれしづかな東洋の春ガリレオの望遠鏡にはなびらながれ〉永井陽子。きのうの紙面はオリオン座にある1等星ベテルギウスの大爆発の予兆を伝えていた。巨大な星の死である。星とても歳々年々同じではない。万物の定まりなきを夜の空に思う。

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