小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地取引をめぐる疑惑が深まっている。不可解な巨額資金の動きがあるのだ。小沢氏は東京地検の参考人聴取だけでなく、国民にも自ら真相を語るべきだ。
小沢氏の資金管理団体「陸山会」が購入した東京都世田谷区の土地をめぐる疑惑は、まさに「怪」というほかはない。
まず購入日である。政治資金収支報告書では二〇〇五年に購入費約三億四千万円が計上されているが、実際には〇四年十月だった。「単純ミス」と小沢氏は説明したが、納得し難い疑問が潜む。
小沢氏の事務所は当初、「借入金で購入した」としていたが、実際には金融機関からの借り入れ直前に、土地代金は支払われていたからだ。その原資について、事務担当だった石川知裕衆院議員は、「小沢氏から現金四億円を借りた」と供述しているという。
しかし、同会の収支報告書にその記述は見当たらない。そもそも小沢氏の手元に、なぜ現金四億円があったのかも謎だ。〇七年に土地購入について記者会見した際、小沢氏がそれに言及しなかったのはなぜか。疑念の持たれぬカネならば、小沢氏は進んで説明を尽くした方がよかろう。
謎はなお深い。〇四年から〇七年にかけて、陸山会が収支報告書に記載しなかったカネは十億円を超えるとみられているのだ。金融機関からの借り入れ自体が、偽装工作だった可能性もある。
不自然極まりない。小沢氏はかねて政治資金について「法律に従い、きちんと処理して、報告している」と述べている。だが、今回の問題は、その言葉をうのみにできないほど深刻に映る。
東京地検は石川氏らを政治資金規正法違反で立件する方針と聞く。小沢氏を参考人として事情聴取するのもそのためだ。ゼネコンの一斉聴取を始めたのは、「闇献金」の疑いが晴れぬからだろう。実際に中堅ゼネコン幹部から「一億円献金」の証言も出ている。
西松建設側からの献金をめぐり、小沢氏は昨年五月に党の代表を辞任した。そして、党のマニフェストで「企業団体献金の禁止」をうたった。その経緯を考えれば、小沢氏の政治責任がさらに厳しく問われるのは必至だ。
鳩山由紀夫首相の元秘書も偽装献金で罪に問われた。「政治とカネ」の汚辱に政権がまみれている。小沢氏は国民に納得のいく説明責任を果たしてほしい。
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