HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 10 Jan 2010 00:15:48 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:一昨年他界した米国の気象学者エドワード・ローレンツ氏は「カ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年1月10日

 一昨年他界した米国の気象学者エドワード・ローレンツ氏は「カオス理論」の父と呼ばれる▼カオスとは混沌(こんとん)。何でも、初期条件の小さな差異が後々巨大で予測不能な変化につながるという理論で、気象の数理モデルから発見したという。その論文『予測可能性−ブラジルでチョウが羽ばたくとテキサスで竜巻が起きるか?』から「バタフライ効果」として知られている▼難しいことは分からないが、そういうことも起こり得る、というたとえ話だろう。氏が籍を置いた米大学のサイトにある評伝の表現が分かりやすいように思う。曰(いわ)く、「なぜ天気予報がそれほど困難なことなのかの説明に挑んだ」と▼気象庁が「暖冬傾向で雪は少ない」と予想していた今冬。だが、やはり“カオス”にやられたようだ。実際は日本海側を中心に降雪や積雪は平年の倍という所も多い。特に昨年末は十二月としては四年ぶりの大雪。気象庁は素直に「予想外だった」と認めている▼雪といえば年末年始には冬山での遭難も相次いだ。警察庁のまとめだと、十二月二十九日〜一月三日の間に発生した山岳遭難は全国で十八件。遭難者は二十八人、死者・行方不明者は六人に上る▼<寒からぬほどに見ておけ嶺(みね)の雪>と言えば、多分、冬山の魅力を知らぬ者の言ということになるのだろう。だが、そこには魔が潜むことも肝に銘じておきたい。

 

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