きょう1月10日は「110番の日」。警察は110番と小さいころ覚える。そういえばなぜだろうと、ふと疑問に思う人は多いらしい。ネットを見ると、警察やNTT、一般の人同士が質問し、回答するページなどに答えが並んでいる。
▼理由は覚えやすい、かけやすい、動転していても間違いにくい、の3つだという。後の2つは年々分かりにくくなろう。ダイヤルを回す時間は1が最も短く0はその反対の端で、などと書いて若い世代がどれだけぴんと来るか。ネット上の解説の多くも、昔の電話はダイヤル式だったので、という注釈から始まる。
▼警察への電話通報の仕組みが始まったのは終戦から3年後。実は消防や救急への通報である119番は戦前からあり、110番より歴史は古い。戦後の混乱期に、事件や事故を素早く通報できるように110番は発足した。ふつうの人々と警察との距離は終戦を境に大きく縮まった。そんな時代に生まれたわけだ。
▼電話機はボタン式になり、最近は携帯電話が通報件数でも多数派。覚えやすく身近である半面、問い合わせや頼み事も多いらしい。重大な事件や事故への対応に支障が出かねないと、不要不急なら相談用の番号にかけるよう警察は呼びかける。数字1つに工夫を凝らした知恵を、われわれはきちんと受け継げるか。