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天声人語

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2010年1月10日(日)付

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 世界初の定期航空は1914年に米国で誕生した。2人乗りの1人がパイロットで、1人が乗客だった。片道20分ほどの飛行は人気だったが、客が1人では採算がとれず、4カ月で営業停止になったそうだ(『飛行機は世界を変えた』岩波書店)▼初期のエアラインはどこも苦しかった。だが各国の政府は翼に威信をかけ、中小の会社を一社にまとめて強力に援助した。そうして「ナショナル・フラッグ・キャリア」、つまり国の顔でもある航空会社が生まれていく▼戦後の日本は日本航空がその地位を占めた。花形企業の代名詞だったが、80年代半ばから揺らぎだす。ジャンボ機事故や全日空の国際線進出などで、まず学生の就職人気が逆転した。とはいえ、いつの間にこれほど凋落(ちょうらく)していたかと、昨夏以来の騒ぎに驚いた人も少なくあるまい▼その日航をめぐって、会社更生法の適用申請が固まったという。あけすけに言えば倒産である。イメージが悪いと反対もあったが、巨額の公金を入れるからには透明性は欠かせない。やむを得ない流れだろう▼週刊朝日の名編集長だった扇谷正造が昔、企業の継続とは「一本の灯を守っていくこと」だと書いていた。日航はしくじった。公金投入は、消えかかった灯は国民の財産でもあるという考えに基づいている▼初の定期飛行から1世紀近く、いまや最大800人が乗る旅客機も飛ぶ。地球はいよいよ狭く、「強い翼」は国の将来に欠かせない。新しい酒を新しい革袋に入れての経営再建になろう。甘えを捨てた辛口でお願いしたい。

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