HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61698 Content-Type: text/html ETag: "15c7c6-160f-8b4959c0" Expires: Fri, 08 Jan 2010 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 08 Jan 2010 22:21:10 GMT Connection: close 菅財務相 埋蔵金にはもう頼れない : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

菅財務相 埋蔵金にはもう頼れない(1月9日付・読売社説)

 鳩山内閣ナンバー2の菅副総理が、経済運営と税財政政策の全般を担う財務相に就任した。

 二番底が懸念される景気をどう支えていくか。危機的な状況にある財政を立て直すには、どのような手だてがあるか。菅財務相に課せられた責務は極めて重い。

 新財務相の当面の課題は、来年度予算案の国会審議をいかに乗り切るかとされているが、まず、予算の内容への反省から始めてもらわなければ困る。

 来年度予算案の編成に、菅氏は国家戦略相として深く(かか)わった。迷走を続けた編成の過程や、膨大な国債発行と「埋蔵金」頼みを招いた責任があるはずだ。

 来年度予算は、一般会計の歳出規模が92兆円余りに膨らんだ。子ども手当や高校授業料の無償化など、民主党の政権公約(マニフェスト)を実現するための経費を盛り込んだためだ。

 一方で、景気底上げに即効性のある公共事業費は2割近く削減した。これでは、地方経済はさらに疲弊しかねない。景気が一段と落ち込むようなことがあれば、新たなテコ入れ策を検討すべきだ。

 鳩山内閣は公約重視の傍ら、肝心の歳入確保はおろそかだった。無駄の洗い出しで財源を捻出(ねんしゅつ)するとし、事業仕分けなどに取り組んだが期待はずれに終わった。

 それなのに菅氏は、なお無駄減らしにこだわっている。特別会計などをいくら見直しても、そうあてに出来ないことは、今回の予算編成で明らかだ。埋蔵金もほぼ枯渇してしまった。

 そうであるなら、菅氏が取るべき手法は二つだ。子ども手当を再来年度から倍増させるなど、公約に掲げた政策の修正・撤回と、将来的な税収の確保である。

 増え続ける社会保障費などを賄うには安定財源が欠かせず、それには消費税率の引き上げしかないことは明白だ。仙谷行政刷新相は、消費税率の早期引き上げの必要性に触れている。財務相もそれに倣うべきではないか。

 就任早々、菅氏は円安が望ましいと発言し、それで相場が動いた。だが、閣僚が為替水準に言及すべきでないのは常識だ。鳩山首相も発言を注意した。今後、気をつけてもらいたい。

 菅氏は、「役所の中の役所である財務省」を突破口に、霞が関の中央官庁全体の改革につなげるとしている。しかし、官僚を敵視してはうまく運ぶまい。上手に使いこなすのが政治家の役割であることを忘れてはならない。

2010年1月9日01時18分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です