HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sat, 09 Jan 2010 00:16:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:JAL危機 法的整理で再建急げ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

JAL危機 法的整理で再建急げ

2010年1月9日

 経営危機に陥っている日本航空(JAL)はもはや会社更生法など法的整理の下で再建するしかない。公的資金も活用する。政府は支援内容を国民にしっかりと説明して理解を得るべきだ。

 西松遥社長はじめ約四万七千人のグループ従業員は、日を追うごとに世間の風の冷たさが増していることを痛感しているのではないか。鳩山内閣、企業再生支援機構、銀行、利用客そして株式市場さえも“倒産”を想定した動きを強めている。

 前原誠司国土交通相は昨年九月、不採算路線の廃止や人員削減などを盛り込んで策定した同社の自主再建計画を白紙に戻すと表明。独自の作業チームを設置した後、翌月に支援機構を活用し再建策を作る方針を決めた。

 これまでに支援機構が固めた再建策は「事前調整型の法的整理」である。日本政策投資銀行やみずほコーポレート、三菱東京UFJ、三井住友の民間主力銀行などの合意を取り付けた上で日航が会社更生法を申請する仕組みだ。

 再建は裁判所の監督の下で行われるため、手続きの透明性と債権カットなど負担の公平性が確保される。経営陣も交代し人員削減など厳しいリストラも行われる。

 これに対して民間銀行側が提案している「私的整理」は関係者が話し合って債権放棄額などを決める手法だ。この場合、協議の中身が見えないほか利害調整が難航する恐れがある。

 この際、過去のしがらみを断ち切るためにも法的整理、特に会社更生法を活用して再建すべきだろう。海外で信用不安が起こる可能性があるが事前に周知徹底させて関係者の動揺を防ぐべきだ。

 もっと重要な点は国民への説明である。同社の再建には人員削減や路線縮小など今後、一兆円を超える多額の資金が必要とされる。民間資金のほか政投銀や支援機構の融資・出資など公的資金も活用する。日航が破綻(はたん)すれば国民負担となりかねない。

 一民間企業である日航をなぜ救済するのか。たしかに国際・国内線で年間五千万人以上が利用する公益性や雇用への悪影響、観光立国で重要な企業との指摘はある。それなら政府は丁寧に説明して国民の納得を得るべきだ。

 同社は現在、高額な企業年金の減額を進めている。現役社員は三分の二以上が賛同したが退職者からの回答は難航している。期限は今月十二日。達成できなければ国民の“日航離れ”は加速する。

 

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