HTTP/1.0 200 OK Age: 0 Accept-Ranges: bytes Date: Thu, 07 Jan 2010 20:21:34 GMT Content-Length: 8383 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.3 Last-Modified: Wed, 06 Jan 2010 14:23:19 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

社説2 水産資源の管理へ日本が導け(1/7)

 マグロなど水産物の漁業規制が強まっている。消費大国の日本には食料供給問題に直結する。背景には新興国の需要拡大、環境異変といった問題がある。日本の政府、企業は水産物の安定確保に向け各国の協力を得るよう努めるべきだ。

 穀物や畜産物と違い水産物の供給は天然資源に依存する。養殖魚は4割どまりだ。一方で需要は輸入量で日本を抜いた中国など新興国のほか、欧米も健康志向で増えている。

 漁獲量が30年前の2倍に増えたマグロ類は、海域で分けた5つの国際委員会が資源を管理しており、軒並み規制強化が決まった。高級なトロがとれるため日本人が好むクロ(本)マグロは、大西洋・地中海で2010年の漁獲量が09年より4割減り、中西部太平洋も現状より増やさないことで合意した。

 絶滅危惧種の国際取引を禁じるワシントン条約会議は3月、大西洋・地中海産クロマグロを対象に加える案を投票にかける。採択されれば国内のクロマグロ流通量は半減する。過度な漁獲が続けば近い将来、様々な水産物がクロマグロのように追い詰められる。その前に資源量を守る対策を急ぐべきだ。

 水産資源の管理、安定利用には国際協力が欠かせない。資源量の実態を正確に調べ、どの程度の漁獲なら安定した資源を維持できるのか、消費大国の日本が各国の協調をけん引しなければならない。

 需要増で価格上昇が続けば、漁業規制のない国が乱獲に走るおそれがある。現状でもタラ、カニなど国際市場で高値取引される水産物ほど資源減少が目立つ。違法操業の監視に各国の協力は不可欠だ。

 世界需要を満たすには作り、育てる漁業の強化も急務だ。近畿大学が初めてクロマグロの卵を人工ふ化して成魚まで育てる完全養殖に成功するなど、日本は高い養殖技術を持つ。こうした技術力をいかせば、新たな成長産業としても期待できる。

 養殖技術を産業に変えるには、生産コストを下げるほかない。漁業協同組合などの権益を優先し、企業の新規参入や規模拡大を困難にする規制を緩和しないと、せっかくの養殖事業の合理化も進まない。漁業法など現行法制度の見直しを求めたい。

社説・春秋記事一覧