HTTP/1.1 200 OK Date: Thu, 07 Jan 2010 00:15:42 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:財務相辞任 急場しのぎでは済まぬ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

財務相辞任 急場しのぎでは済まぬ

2010年1月7日

 藤井裕久財務相が体調不良を理由に辞任した。通常国会を前に財務相が辞任するのは異例だ。鳩山由紀夫政権は新年度予算案はもとより内閣の目指す方向について十分な説明を尽くすべきだ。

 どこか不透明さが残る重要閣僚の交代劇である。藤井財務相は昨年末、二〇一〇年度予算編成が終わった三日後の十二月二十八日、疲労と高血圧を理由に突然、都内の病院に検査入院した。

 その後、三十日の閣議には病院から出席したが、年が明けて五日に鳩山首相に辞任を申し出た。たしかに七十七歳の高齢を考えれば、予算編成は激務だったろう。政権が初めて迎える通常国会では野党から厳しい質問が相次ぐ事態も十分予想できた。

 万全でない体調で国会に臨むよりも自ら身を引く選択をしたのは理解できなくもない。ただ、そう額面通り受け止めきれない面がある。予算編成の過程で、藤井大臣が意志を貫けなかったとみられる局面もあったからだ。

 たとえばガソリン税の暫定税率廃止問題では、小沢一郎民主党幹事長が税率維持を求めた。鳩山首相は一リットル当たり五円程度引き下げる案を藤井大臣が会長を務める政府税制調査会に打診したが、維持で決着した。診療報酬問題でも藤井大臣は引き下げを求めたが、結局、小幅引き上げになった。

 小沢幹事長はそもそも藤井氏の財務相就任に難色を示したとされ、二人の間の確執もとりざたされている。藤井大臣にしてみれば、責任者を務めている予算編成で全権を発揮できないようなら、あえて職にとどまる意味はないと判断したのかもしれない。

 菅直人副総理兼国家戦略相が副総理兼務の財務相になって、国家戦略相は仙谷由人行政刷新相が兼務すると決まった。藤井氏辞任に伴う玉突き人事の形だが、これも問題なしとはいえない。

 国家戦略相と行政刷新相は鳩山政権の二大看板とされ、ともに重要な任務を負っているはずだ。たとえば国家戦略相は六月にも成長戦略や財政再建の中期プランを策定せねばならない。行政刷新相は公務員制度改革や独立行政法人の見直しが待っている。

 仙谷大臣は霞が関を敵に回しかねない大仕事を抱える一方、金融市場が敏感に反応する経済財政運営にも細心の注意を払って臨まねばならない。ともに急場しのぎでは済まない重要課題である。

 今回の閣僚交代が国政の停滞を招いてはならない。

 

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