HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 63143 Content-Type: text/html ETag: "21a74e-1ca3-22ebc980" Expires: Tue, 05 Jan 2010 22:21:06 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 05 Jan 2010 22:21:06 GMT Connection: close 鳩山政権 景気、基地、献金をどうする : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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鳩山政権 景気、基地、献金をどうする(1月6日付・読売社説)

 鳩山内閣の政権運営を難しくしているのが「3K」とされる。

 「景気」「基地」、そして「献金」である。

 先の二つ、とりわけ米軍普天間飛行場移設問題の混迷は、鳩山政権の失政によるところが大きい。鳩山首相の偽装献金問題は、首相自身の政治姿勢そのものが問われている。

 3Kを乗り越えられるか。それは、鳩山政権の命運がかかるだけでなく、日本の将来にも影響する重要な政治テーマである。

 ◆予算の成立を急げ◆

 日本経済は今、厳しい雇用状況とデフレにあえいでいる。国内景気が一段と悪化して二番底をつけることへの懸念は根強い。

 首相は年頭の記者会見で、「政権交代を実現したが、これからがスタート。正念場の1年と覚悟を決めている」と述べて、今年度補正予算案と来年度予算案の早期成立に意欲を示した。

 予算の成立が遅れれば、景気の足をさらに引っ張ることになる。問題の多い予算ではあるが、早期に成立させる必要がある。

 18日に召集される予定の通常国会では、与野党の激突が予想される。

 自民党など野党各党は、首相の元秘書2人が在宅・略式起訴された政治資金規正法違反事件などで鳩山政権を厳しく追及する姿勢をみせているからだ。

 首相は、実母からの巨額な資金提供について「まったく承知していなかった」と繰り返している。こんな説明では、国民の納得は到底得られまい。

 資金の使途に関し、首相は年頭会見で「私がどこまで把握できるかということはあるが、それなりの説明は行いたい」と述べた。

 ◆献金問題で説明尽くせ◆

 首相は責任を持って使途の全容を明らかにする必要がある。首相の説明が尽くされなければ、野党が要求する元秘書や鳩山家の資産管理団体代表らの国会招致も避けられまい。

 小沢民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる違法献金問題は、土地の購入代金との関連が焦点となっている。

 東京地検は、小沢氏の元秘書で、陸山会の事務担当者だった石川知裕民主党衆院議員に対する事情聴取を行った。検察の捜査とは別に、国会の場でも解明を進めることが求められよう。

 一方、普天間問題では、首相は「無駄に時間を浪費するつもりはない。期限を切って結論を出す」として、5月までに決着させる考えを強調している。

 日米関係への悪影響を最小限に食い止めるためにも、これ以上の遅延は許されない。

 自民党も、現行計画による移設を政府が決断するよう強く促し、協力すべきだ。政治とカネの問題が重要だとしても、審議拒否といった戦術で、予算の成立を遅らせることがあってはならない。

 今夏は参院選が行われる。

 民主党は、2007年選挙の獲得議席と同じ60議席を確保すると単独過半数に届く。これが実現すれば、民主党は衆参両院で単独過半数を確保することになる。

 仮に単独過半数を獲得した場合であっても、民主党は社民党、国民新党との連立政権を継続するとしている。

 しかし、普天間問題などで主張が異なる社民党との連立を維持することが、外交や安全保障の政策遂行に大きな障害となっていることは明らかである。

 民主党はこの点を踏まえた政権戦略の再構築が欠かせない。

 ◆マニフェスト見直しを◆

 参院選に向けた公約作りも重要となる。

 民主党は昨年の総選挙で、国の予算を徹底的に効率化し、マニフェスト(政権公約)に掲げた重要施策に必要な来年度の財源7・1兆円を生み出すと公約した。

 だが、予算編成作業では無駄減らしが思うように進まず、財源の工面で苦しんだ。ガソリン税などの暫定税率廃止の撤回など、公約の一部を修正してもなお財源を確保できず、新規国債発行は44兆円を超えた。

 マニフェストに拘泥すれば、11年度予算では、子ども手当だけでも10年度を大幅に上回る5・5兆円の財源が必要になる。安易に国債に頼れば財政は持たない。

 鳩山首相は記者会見で、公約を一部修正したことを踏まえ、参院選向けのマニフェストでは「何らかの修正が必要だ」と言う。

 当然な対応だろう。安易な大衆迎合に陥らず、現実に即した公約作りを進めてもらいたい。

 通常国会では、景気、普天間問題、政治とカネの問題以外にも、少子高齢化対策、気候変動問題など論点は多い。

 参院選を控えて、建設的な論戦を展開することが、各政党に課せられた責務である。

2010年1月6日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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