HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17843 Content-Type: text/html ETag: "30930a-45b3-46728640" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 06 Jan 2010 01:21:11 GMT Date: Wed, 06 Jan 2010 01:21:06 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2010年1月6日(水)付

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 先日、群馬県の知人から細長い宅配便が届いた。「生もの」「割れもの」と注意書きが2枚はってある。自然薯(じねんじょ)だった。大人の腕ほどもある見事な姿は、なるほど、どこも欠けてはならない彫刻を思わせた▼生もので割れものとは、思い込みを裏切る異質の取り合わせだ。宅配で送るものでは、あとはメロンぐらいだろうか。同様の意外性を、人間そっくりのロボットにも感じる。人肌をまとったような機械には、軟と硬、温と冷が同居している▼ある百貨店グループが、初売りの話題づくりに人型ロボットの注文を取った。2体限りの特製で、価格は西暦にちなんで2010万円。それでも全国で数十件の応募があったそうだ▼抽選のうえ、購入者と同じ顔、体、声を持つロボットを、開発会社のココロ(東京)が半年かけて作る。あらかじめ用意した言葉を、それなりの表情や身ぶりでしゃべるという。同じ大金を出すなら別の容姿にしたい気もするが、自分がもう一人いる世界も面白い▼ロボットの好感度は、外見や動作が人間に近づくほど増す。ところが、ある時点で強烈な不快感に転じ、人と見分けがつかない水準で好感に戻るという。中途半端に人っぽい段階を「不気味の谷」と呼ぶそうだ。『ロボットのいるくらし』(ロボLDK実行委員会編)に教わった▼人と機械という異質をすり合わせ、「谷」を越えようとする人型ロボ。重さ100キロというから、輸送時は「割れもの」というより大型機械の扱いだろう。包装の片隅にでも小さく「生もの」とはってやりたい。

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