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社説1 成長には競争と投資促す改革が必要だ(12/31)

 鳩山政権が新しい経済成長戦略の基本方針を閣議で決めた。2020年までに環境、健康、観光の3分野で100兆円を超す新たな需要を掘り起こし、年平均で名目3%、実質2%を上回る経済成長を目指す。

 政権公約に盛り込んだ個々の政策へのこだわりが強く、経済政策全体を見るマクロの司令塔機能が不在だった鳩山内閣が、中長期の経済運営の見取り図を示したのは初めてだ。経済のパイを広げる視点を欠いていた政権が重点分野と目標を明示したのは、とりあえず前進といえる。

 日本はデフレと低成長に悩み、財政悪化と少子高齢化による制約も大きい。持続的な成長と雇用創出の原動力となるのは民間の投資である。来年6月に正式な「工程表」を示すというが、それまでに予算や税制、規制改革といった政策の肉付けを徹底し、民間の投資を導き出す環境を整えなければならない。

 基本方針は環境・エネルギー、健康、アジア、観光・地域活性化、科学・技術、雇用・人材の6つを戦略分野とした。環境で50兆円超の市場と140万人の雇用、医療や介護などで45兆円の市場と280万人の雇用を新たに生むという目標だ。

 具体的な政策としては、風力や太陽光などによる電力を固定価格で買う制度の拡充や、インターネットを利用して電力利用を効率的にするスマートグリッドの構築に触れた。先端医療の実用化や高齢者用住宅の改修支援、民間資金も使った大都市圏の交通基盤の整備も掲げている。

 幼稚園と保育園の一体化で育児の環境を向上させ、一定区域での自由な活動を認める「特区」で地域振興を狙うといった、規制の緩和・改革に言及したのも評価できる。

 それでも成長戦略としては力不足だ。日本経済が今の実力をすべて発揮して達成できる潜在成長率は0.5%程度に下がっている。実質2%成長には需要の発掘に加え、産業構造を変えて競争を促し、生産性を高める努力が欠かせない。

 電力の自由化や雇用・医療の規制緩和、農業を含む貿易自由化など、抵抗の強い改革に踏み込む覚悟がいる。製造業の派遣労働の原則禁止など経済効率を低下させるような政策に傾くべきではない。福祉充実とともに競争を促して高成長を実現したスウェーデンに学ぶべきだ。

 年平均3%以上の名目成長を目指すが、その始まりとなる10年度の政府見通しは0.4%にとどまる。デフレ克服が当面の最優先課題だ。政府・日銀が連携し、早くデフレを止める政策対応が必要である。

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