鳩山内閣の支持率が40%台に急落した。偽装献金事件をめぐる首相の釈明会見に七割以上が納得をせず、指導力不足への視線も厳しい。年明けの通常国会を正念場と心得て、信頼回復に手を尽くせ。
共同通信社が二十五、二十六両日行った全国電話世論調査で、内閣支持率は47・2%と十一月の前回調査から16・5ポイントの急落。九月の政権発足後、初の50%割れだ。
不支持理由の最多が「首相に指導力がない」の24・1%で、前回の9・2%から急増した。
年末の二〇一〇年度予算編成や税制改正では、民主党の小沢一郎幹事長が表舞台に登場した。
財源不足に苦しむ鳩山由紀夫首相を側面支援する狙いがあったにせよ、首相が内閣主導の政策決定に徹しきれなかったことを、国民が敏感に感じ取ったのだろう。
ただ、国民は首相に辞任を迫るまでには至っていないようだ。
偽装献金事件をめぐる首相の釈明に76・1%が「納得できない」と答えたが、首相の対応では「説明責任を尽くし、改善策を講じて首相を続投すべきだ」が64・3%と最多で、「辞任すべきだ」は21・1%にとどまった。
支持率は50%を割り込んだとはいえ、多くの自民党政権に比べれば依然高い。国民は自ら選択した政権交代の「果実」を期待している。安易に政権を投げ出せば、国民の期待を裏切ることになる。
来年一月召集の通常国会で、自民党は来夏の参院選をにらんで、首相への攻勢を強めるだろう。
首相は、偽装献金事件では国民の納得のいくまで説明責任を果たすとともに、内閣主導の政策実現に陣頭指揮を執ってほしい。それが信頼回復の唯一の道だ。
もう一つ注文がある。それは衆院選マニフェストに盛られた政策の妥当性を再検証し、優先順位を付けなおすことだ。
マニフェストに廃止すると明記されたガソリン税の暫定税率は水準が維持され、首相は「率直におわび」したが、水準維持を評価する人は半数を超す。有権者はマニフェストを「不磨の大典」とまでは思っていないようだ。
国民との四年間の契約であるマニフェストの根幹部分を安易に変えることは許されないが、状況の変化に応じて微修正することまで許されていないわけではない。
来夏の参院選ではマニフェストの進捗(しんちょく)状況と「微修正版」を問えばいい。有権者の選択にとって有力な判断材料になるはずだ。
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