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時は公平だ。だれの1日にも24時間が与えられ、8760時間を使い切って1年が尽きる。この日を笑顔で迎えた人ばかりではなかろうが、絶好調でも、どん底でも、ほどなく心機一転の節目が訪れる▼10年前、フィンランド北部の、ロシアとノルウェーに接するあたりを訪れた。それぞれ時差のある3国が隣り合う、珍しい場所である。冷戦の残り香はすでになく、年越しの晩には各国の国境警備兵が集まり、2000年入りを1時間おきに3回祝うと聞かされた▼しかし、その後の世界は祝賀から遠いものとなった。90年代がナインティーズなら、00〜09年の、つまり本日で終わる00年代をどう呼び習わすかが、米国で話題になっているという。ゼロズ、ダブルオーズ、何にせよ、恐怖と混迷の10年に変わりはない▼激動は日本にも達した。政権交代の波を起こした有権者は、波が引いた後の景色に失望していよう。頼りなげな首相と、こわもての幹事長、そして両人の献金問題。政策の迷走はしばし堪(こら)えるにせよ、政権の構えに不安が募る▼与えられた時間はそうない。10年先までの成長戦略は発表されたが、危機は足元にある。景気の二番底が黒い口を開ける中、「公設」の派遣村が各地にでき、生活費のどこを削るかという「家計の事業仕分け」が進んでいる▼そうした時代だからこそ、引き続きのご愛読はありがたい。投じたお金、時間に見合う満足をお届けできただろうか。末永く何分かを割いてもらえるよう、さらなる精進を期して00年代の筆をおく。よい10年代を。