HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 30 Dec 2009 01:15:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日本人の正装だからと、紋付き羽織・袴(はかま)姿で最高裁の…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年12月30日

 日本人の正装だからと、紋付き羽織・袴(はかま)姿で最高裁の大法廷に出廷した弁護士がいた。日本で初めて国会議員の定数訴訟を起こした越山康さんだ。先月、中咽頭(いんとう)がんで亡くなった。七十六歳だった▼一九六二年以降、一票の価値の平等を求めて起こした訴訟は二十件超。存命なら小選挙区制度下の定数を初めて「違憲」とした大阪高裁の判決にどんな感慨を抱いただろう。仕事納めの日に飛び込んだ大ニュースだった▼政権交代が実現した八月三十日の衆院選で、有権者が全国最少の高知3区(土佐市など)と最多の千葉4区(船橋市)の格差は二・三〇倍。「二倍を超える状態を放置することは憲法上許されない」と判決は明快だった▼四十七都道府県にまず一議席ずつ割り振る「一人別枠方式」も初めて違憲と判断。記者会見で原告側弁護士が「大変なことが起き、私たちはそこに立ち会った」と興奮するのも分かる画期的判決だ▼最高裁で覆る可能性があるものの、二倍という基準が示された意味は大きい。一人別枠方式の見直しで、都市と地方の格差が広がるという指摘もあるが、判決は国会に早急な是正を促した▼七月末に余命を告げられた越山さんは、翌月の衆院選も訴えた。判決には至らなかったが、別の弁護士グループが違憲判決を勝ち取った。「先駆者」は役割を果たし、次の世代にバトンをつないだ。

 

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